SEEDS-net  vol.39
2005年11月 7日発行


今回のメルマガを一言で言うなら、大盛り!! ちなみに、西武の中村剛也の好きな言葉は、おかわり。 目玉は、みんなのスポーツ研究大会、 通称:みんスポでお世話になった日体大の森川先生インタビュー☆ あっ、読む前に一言言わせてください。 これを読んだら、何ていうか居ても立ってもいられなくなるわけですよ!! ・・・そうだ、京都に行こう♪と、その前に熟読してください!!

<もくじ>
ひとから見るスポーツ 日体大教授 森川貞夫先生
ところざわするめクラブ ラート体験記
マイレポート レッズランド芋堀り体験記
マイレポート バスケがしたい
マイオピニオン 応援という観点から見たbjリーグ

++ ひとから見るスポーツ ++ 日体大教授 森川貞夫先生 
お待たせいたしました。前回に引き続き、日本体育大学教授・森川先生のインタビューをお届けします。

≫≫ 日本のスポーツ政策の課題

森川先生(以下、森)「相対的に言って、日本のスポーツ政策っていうのは僕から見た
ら、まだまだ不十分」

SOJ(以下、S)「その原因とは何なのでしょうか?」

「だってスポーツの政策を研究する研究者っていないでしょ。まともにスポーツ政策なりスポーツ行政の研究をして、体育の世界にいる人は1人だけじゃないかな。僕も自分で(研究を)やっているだけだから、色んなスポーツ政策の研究者の前じゃ恥ずかしくて言えないけど。だからそれぐらい日本のスポーツ政策、行政も研究も遅れている」

森川先生は平成7年からの10年間、日本中の総合型地域スポーツクラブに自ら足を運んで視察してきた。しかし、指定管理者制度を含め、それらがうまく機能していない現状をこう指摘する。

「行政の中にも専門職がいないから、簡単に公共がやるべき責任を放棄して、民間に委託してしまう。だから歯止めがかかんないよね。これがもし専門職がいれば、例えば学校には先生がいるでしょ。図書館には司書がいて、博物館や美術館には学芸員がいる。でも、体育の施設には専門職がない。それがちゃんとあって、10年、20年やっていれば積み上げができる。でも実際はそうじゃないから積み重ねがしにくい。がんばってる職員もいるんだけど、全体的にはそういう専門職がいないから歯止めがかからない。これもまた二重に不幸だよね。 行政とかでもそういうスポーツはどういうものなのかをしっかり知っている人が少ない。このままでいくと利用したい人も利用できない状態になって、スポーツをやれる層と、やれない層と2つに分かれる。たぶん今はそういう状況。いろんなところで二極化が進んでいる」

「それを打開するためには……?」

「誰もがスポーツをできる条件を整備する。まず安心して打ち込めるだけの経済的なゆとり、自由時間、それと施設。こういう客観条件を作り上げていくしかない。だからもう国の根本から国民の生活を豊かにしていかなきゃいけない。だってスポーツってさ、時間も金も暇もなければできない。だから結局いくらスポーツだけ考えてもダメなんだよ。スポーツをとりまく環境を整備していくっていうこと抜きにはスポーツは発展しない。そうすると、経済のことなんかも勉強しなきゃいけないし、今の労働条件だとか、普通の人の余暇の時間がどうなっているだとか、そういうのも研究しなきゃいけない。競技スポーツを強くするためにも、土台のところをうんと変えていかないと」

≫≫ 組織論 

先生は行政におけるスポーツの専門家の不在を繰り返し嘆いた。

「よその国にはちゃんと専門職の人がいる。スポーツなんていうのは専門職がいないと駄目に決まっている。形の上では体育大学を出たやつはいるんだよ。でも(世の中で
の)扱いが低いから、本当に能力があるやつじゃなくて、一般職の人が使いやすい人を集めてくるわけよ、簡単に。だから(行政の)上の人の考え方次第。多少扱いづらくても骨のあるしっかりしたやつを集めようとすれば集められるわけ。大学でもそう。上の教授がしっかりしてて、ちょっと生意気だけど、講師でちょっと力のあるやつ入れようと思えば取れるじゃない。だけど、自分の力がない教授だったら、自分の批判するようなやつなんか入れたくないって言ったら茶坊主みたいなやつ入れるじゃない。大学が駄目になるのはそこだよ。だって人事権握っているのは上なんだからさ。(企業の)社長でもそう。自分の言うことハイハイって聞くやつばっかりを周りに集めたら会社が潰れる。企業はそれでわかるんだよ。すぐに業績に出るから。でも教育委員会とか行政っていうのはわからない。答えがすぐ出ない。今のようなことやってたら、民間の会社だったら潰れちゃうよ。だから本当の社長っていうか、優秀な社長・会長は、自分のことを批判するぐらいの奴をちゃんと何人か位置づける。 ちゃんと上の人が、本気で日本のスポーツをどうするか考えること。別にスポーツ組織だけじゃなく、行政の中にスポーツを理解している人がいないといけない」

≫≫ 学問としてのスポーツ

「スポーツが学問として見られてないと思いますか?」

「特に日本の研究者っていうか、アカデミズムにいる人たちはスポーツを研究するっていうと馬鹿にするよね。一段階低いものに見る。そういう世間の偏見。だけどスポーツの中にいた人も、僕がハンドボール馬鹿になっていたように、あんまり深くものを考えなかった。だから自分たちも努力しなきゃいけない。よく言うじゃない。他人と過去は変えられないけど、自分と未来は変えられるって。だからスポーツをやっている人たちがどんどん努力して、自分が変わっていかないと、世の中も変えられない」

≫≫ 海外のスポーツ事情

「先生がご研究なさっていたイタリアのスポーツ状況はどうだったのでしょう?」

「イタリアの特徴は、オリンピック委員会のなかに、競技スポーツの団体とは別に、これは日本でいう政党系列、自民党系とか、社会党系とか、そういったイメージの大衆スポーツ(日本で言うみんなのスポーツ)団体が14ある。それのスポーツ振興協会っていうのが連合を作っていて、とても力が強い。だから競技団体もあるけど、みんなのスポーツ、大衆スポーツも日本と比較にならないぐらいに影響力を持っている。5500万くらいの人口で、おそらく1000万人以上組織しているんじゃないかな。だからトトカルチョ(サッカーくじ)の分配は、大衆スポーツ団体にも渡る。それが日本とまったく違うところ。日本は競技スポーツ団体以外の第2の団体がないでしょ。ところが、ヨーロッパはさ、イタリアだけじゃなくフランスもそうだし、あちこちで勤労者スポーツ連盟や戦前の労働者スポーツ運動の伝統を持った組織があって、それがみんなのスポーツを押し上げる。日本はだからそういう力がまったくゼロと言ったら失礼だけど弱い。まあ、イタリアとかヨーロッパとの違いはそこだね。この間もみんなのスポーツ大会(みんなのスポーツ全国研究大会in神宮)をやったけど、日本全体から見れば、まだまだあれも力は弱いでしょ」

「他にイタリアを研究して気づいた点などは?」

「一般の人たちのスポーツに対する自主的な取り組み、スポーツは自分たちでやるものだっていう意識が非常に強い。でもイタリアも、もともとはブルジョワジーがいて、自転車とかスキーだとかっていうのは一握りの人たちしかやっていなかった。今はやっと、さっき言ったみんなのスポーツの力が強まってきて、大衆化してきている。1つの象徴として、1974年にECのヨーロッパスポーツ・フォア・オール憲章、1978年にはユネスコのパリスポーツ国際憲章が決議された。いずれも第1条にスポーツはすべての人にとっての基本的人権の1つであるっていうことが明記されている。要するにスポーツはみんなの権利だっていうこと」

≫≫ デイリーデモクラシーが日本社会の鍵となる

日本のスポーツ界が変わるために今、必要なものとはいったい何なのだろうか。

「行き過ぎた商業化にしても、ヨーロッパは批判勢力があるから、必ず歯止めがかか
る。日本は歯止めがかからない。問題はそこなんだよ。どうしても一極集中じゃ駄目なんだよな。それを批判できる勢力も一方でないと良くならない。身内だけでいくら議論して
もさ、他流試合っていうか、外へ出て行って議論して、対話能力を作っていくしかないんだよ、変わるには。 だから日常的な民主主義、普段からそういう対話しながら、お互いの意見をぶつけてその中でお互いが批判しあって、いいもの作っていくっていうものが必要なんだよ。デイリーデモクラシーって僕は言うんだけど。日常的に市民がそういうことを普通にできないと、変わっていかない。それはデンマークに行ったときも、イタリアに行ったときも感じた。とにかく徹底して彼らは話し合う。だって生まれも育ちも違えば、考え方が違うのは当たり前でしょ。だからこそ議論するわけ。言葉がわからないと喧嘩しているみたいに見える。韓国もそうだよね。ソウルに行ってさ、あの屋台の中って猛烈な熱気でしょう。話しているのを聞いたら喧嘩してるみたいだよ。でも、日本人は議論しない。「まあまあ」で済ます。あれではお互いに変わらない。民主主義を自分たちの生活レベルから作っていかないと変わりようがない。それはやっぱりヨーロッパの200年以上の、自由と平等、博愛を勝ち取る運動があったから。日本はまだ100年。だから下から変わっていくにはもう100年かかるんじゃない?」

≫≫ スポーツ文化とは

「森川先生にとってスポーツ文化とは?」

「人間だけが持っている唯一の、身体活動の喜びを表現する文化。これがスポーツ」

今回の「人から見るスポーツ」いかがでしたか?スポーツ文化の変革のためには、現場だけでなく、そこを動かすもっと上部の構造から見直さなければいけないのですね。また1つ、勉強しなければいけないことが増えました。

森川先生、貴重なお話ありがとうございました!
 
http://homepage2.nifty.com/s-morikawa/

小池 絵里花、大貫 冬斗 


+ ところざわするめクラブ + ラート体験記
10月22日に東京・府中にある「東芝ラートサークル」でラートを体験してきました。ラートとは、2mほどの円の中に入り、回ったりするスポーツです。皆さんもテレビなどで一度は見たことがあるのではないでしょうか。
初めは基本的な練習ばかりでぐるぐる回ったりするまでには、かなり時間がかかると思っていました。しかし、簡単なレクチャーを10分程受けたら、もう次は回る行程へ。競技選手の使うものとは違い、初心者用に足を完全に固定する器具があり、腕の力もそんなに必要ではなく、安全で簡単に回ることができました。逆立ちができない子供や力のない女性でもラートでは簡単に回ることができます。初めて回るときは少し恐怖心がありましたが、一度回ってしまうと楽しさが恐怖心を押しつぶしてしまっていました。回るイメージとしては側転ですが、なめらかに回るため宇宙遊泳をしているかのような感じになり、この感覚は一度経験すると癖になります。この快感を文章で伝えきれないのが残念です。百聞は一見にしかず。皆さんも是非体験してこの感覚を味わってみてください。

競技としては国内では2種(直転・斜転)、国外では3種(直転・斜転・跳び越し)があり、すべての種目は、男女別・個人別に行われます。といってもなかなかイメージしにくいかもしれませんが、体操のように技を競う採点競技です。実際に、日本トップクラスの技を見せていただきました。東芝ラートサークルの皆さんが練習し始めると、自分たちも練習していたはずが、自然と見入ってしまっていました。姿勢が良
く、ラートをしているからだのラインはとても綺麗です。体操とは違い、常に円を描く白いラートと、柔軟且つ力強く移り変わっていくからだがつくりあげるものには、まさに美≠感じました。

しかし、やはりメジャースポーツとは違い選手に与えられる条件はなかなか難しいようです。まずひとつにラートは室内競技であり、練習も大会も体育館で行われますが、床を傷つけるだろう(実際ラバーでコーティングされているため傷つけませ
ん)、前例がないからといった理不尽な理由で、体育館を借りることが困難です。練習場所確保の難しさは一般に知られていないスポーツの大きな悩みです。

ふたつ目に資金面の問題です。ラート競技は全日本ラート競技選手権大会が年に一度行われ、そこで総合3位入賞するかもしくは各種目で優勝すると2年に一度の世界ラート競技選手権大会に出場できます。しかし、そこでも協会などからの選手への資金提供はありません。そのため国内で勝ち抜いた選手も渡航費や大会期間中にかかる資金なでのすべてが実費です。ラートに限らずメジャーではないスポーツはお金がありません。競技人口が少ないことにより協会に集まる会費は多くありません。競技人口が少なく、さらに露出度が小さいためスポンサーもなかなかついてもらえません。社会人になると選手として続けていくことが困難となり、トップレベルの選手がやめてしまいます。トップクラスの選手にスポットライトが当たらないと、一生懸命練習して頂点を目指している選手も魅力を失い、やめてしまいます。 そして、競技人口は増えません。競技人口が増えなければ会費は増えませんし、大会規模も大きくならないので、スポンサーも増えません。完全な悪循環ではないでしょうか。これは多くのスポーツが抱えている問題だと思います。この悪循環のどこから、そしてどうやって抜け出すか。これがメジャーでないスポーツがメジャー化するための第一歩であり“大一歩”だと思います。

メジャー化できないスポーツの中にはまとめる団体が存在しなかったり、ふたつの組織が対等していたりするスポーツもあります。しかし、ラートには日本のラート界をまとめる日本ラート協会があり、事務局専属の方もいるそうです。これからラートがどう変化していくか、私は注目していきたいと思います。

日本ラート協会ホームページ

安藤 勇太  


+ マイレポート + レッズランド芋堀り体験記
10月21日、浦和レッズが運営している総合スポーツランドであるレッズランドで、サツマイモ掘り&除草作業を手伝わせていただきました。レッズランドにはテニスコートやフットサルコートなどが何面もあり、緑の芝生が一面に広がっていて、芝生が大好きな私にとってはその光景を見ただけで感動ものでした。そして、そんな芝生を横目に見つつ、作業を行うアグリフィールド(サツマイモ畑)へと向かいました。

そこには、緑の草がこんもりと茂っていました。それを見た瞬間、本当に終わるのかと気が遠くなりましたが、気合を入れなおし、それぞれ鎌を手に取り作業に取り掛かりました。 しかし、サツマイモの生命力は凄まじいもので、草が自由気ままにあっちへ伸びたりこっちへ伸びたり、あっちとこっちが絡み合っていたりして草を一本刈るのにも大変な作業でした。

そんなこんなでどうにかゴールへたどり着き、念願のイモ掘りを開始することができました。日も暮れきった中、車のライトを頼りに芋をほりほり。あっという間に、一週間の食事には困らないほどの量のサツマイモを掘り出してしまいました。
次の日はもちろん全身筋肉痛。とっても疲れましたが、途中、休憩も忘れて草を刈ることに熱中してしまうほど楽しかったです。そして、改めて農家の方々と作物に感謝し、食べ物を無駄にしないようにしようと思った一日でした。


レッズランドHP

中島 幸子  
+ マイレポート + バスケがしたい
「バスケがしたい」。この想いからすべてが始まった。2004年の11月24日、正式にbjリーグ設立を発表してから1年弱。2005年11月5日、新しいスポーツ文化形成への挑戦、期待の元に、日本国内初の男子プロバスケットリーグ、「bjリーグ」がついに開幕を迎えた。開幕戦は全国3会場で行われ、各会場で熱戦が繰り広げられた。東京・有明コロシアムでは、ホームである東京アパッチvs新潟アルビレックスの初戦の試合が行われた。観客動員数3759人。コロシアムの7割を占めた。会場に入るやいなや、ここがこれからスポーツが行われる会場か、と思うぐらい大きな音楽と、華やかなダンスパフォーマンスのオープニングセレモニーに迎えられた。そして、河内敏光コミッショナーの開幕宣言。盛大な拍手と歓声で、bjリーグが開幕した。日本バスケットボールの新たな歴史が幕を上げたのである。

開幕初日から、bjリーグの理念を思考に入れた「見て楽しめるスポーツエンターテインメント」を味わうことができた。HIP HOPの音楽に合わせて選手入場。そして、DJパフォーマンスの中での、ウォーミングアップ。ダイナミックで華麗な技と豪快なダンクに、試合前から会場はヒートアップ。試合中も、MCがホームの東京をマイクで応援し、チアガールによる華やかなダンスパフォーマンスで盛り上げる。従来の日本のバスケットボール会場とは一味違う、NBAさながらの独特の雰囲気だった。スポーツと音楽の新たな融合を楽しむことができた。

この対戦は、開幕を前に注目されていた試合であった。埼玉と共にリーグ発足の礎を作った新潟。ブースター(bjリーグでは、ファンのことをブースターと呼ぶ)の応援も、ホームの東京をしのぐほどであり、鮮やかなチームカラーのオレンジが会場の中でも目立っていた。一方東京は、NBAのレイカーズで活躍するスーパースターのコービー・ブライアントの父、ジョー・ブライアントがヘッドコーチを務める。「WILD&WISE」というチームのコンセプトに合った、攻撃力の強さとクイックネスが魅力のチーム。外国人選手が主力を握るチームでもある。

試合前半は、東京が終始ボールを支配した。オールラウンドプレーヤーが多いアパッチの選手の中で特に活躍していたのは、パワーとシュート力を併せ持つ、愛称「ヘリコプター」のハンフリー。そしてスピードとテクニックあるオフェンス力を持つ、牧。前半を、アパッチが20点以上の大差をつけて終えた。

後半は前半とうって変わって、新潟のゲームペース。最終クォーターを10点差で迎える。長谷川のテクニックのあるボール運びと、ニック・デービスのシュート力とリバウンドが光っていた。最終クウォーター残り時間約6分、ついにアルビレックスが逆転に成功。そこからは、息を呑むほどのシーソーゲームが続いた。会場は歓声と興奮で、熱気にあふれていた。残り1秒ほどでアルビレックスが同点のシュートを決め、白熱の最終クウォーターを終えた。先ほどの興奮も覚めやらぬ中、5分間の延長戦が始まった。両チーム激しいディフェンス、手に汗握る展開。そして続くフリースローの末、93−90で東京アパッチが記念すべき初勝利を勝ち取った。

bjリーグ開幕戦。バスケットに興味のある人もそうでない人も、この興奮と感動を楽しみ、次の試合も応援したい、見に行きたい、バスケがしたい、と思えたのではないだろうか。これから、6チームがホーム&アウェー方式で総当り8回戦のリーグ戦を戦い、上位4チームが来年4月28〜30日に行われるトーナメント方式のプレーオフに進む。そして、注目の初代王者が決まる。これからも、bjリーグ、日本バスケット界から目が離せない。要チェックや!!

比田井 淑佳  

+ マイオピニオン + 応援という観点から見たbjリーグ
2005年11月5日、ついに日本初のプロバスケットボールリーグ「bjリーグ」が開幕した。私が見に行ったのは有明コロシアムで行われた東京アパッチvs新潟アルビレックスの試合。今までの日本のバスケでは見ることの出来なかったエンターテイメントがそこでは展開しており、観客を興奮の渦に巻き込んでいた。日本のバスケットボール史上において大きな一歩を踏み出したことは確実だ。しかし問題点もいくつか見られる。その中で私が注目したのは「応援」。

試合開始前からダンスのパフォーマンスやDJやMCにより劇場空間が作り上げられ、観客のボルテージも上がっていた。しかし、試合が始まるとどうだろう。ホームである東京アパッチブースターの一体感が感じられない。MCがブースターを盛り上げようとするが、いまいち盛り上がりに欠ける。一方新潟アルビレックスの方は、アウェーで人数が少ないながらもサッカー式の応援スタイルで一体となり選手を後押しする。こちらの応援はかなりまとまっていた。

観客がなぜスタジアムまで足を運び見に来るか?その大きな要因のひとつに応援がある。声を張り上げてみんなと一体になりチームを応援する。Jリーグなどで経験したことのある人はわかると思うが、これが気持ちいいし、すっきりするし、楽しい。この「お祭り騒ぎ」がしたくて何度も足を運ぶファンは多いのではないか。この間日本一となった千葉ロッテマリーンズも応援はサッカースタイルで、それによってあれだけの応援ができ、観客動員数も増えたのではないかと私は思っている。

東京アパッチのファンとサッカーやロッテのファンの応援の最大の違いは「発信」か「受身」かということ。サッカーやロッテの応援は観客自ら声を出して発信しているのに対し、東京アパッチの応援は受身であった。なぜかというと、日本のバスケの応援の基本は会場に流れるBGMに沿って手を叩くこと。そしてそれをMCが煽る。しかし、その音楽が、MCのマイクを通した大音量の声が応援の発信を妨げてしまっている。これでは会場が一体となっての応援ができるわけがない。ファンも楽しみを見出せなくなってしまうのではないだろうか。実際、有明コロシアムの場合、5日の開幕戦は3700人ものブースターが詰め掛けたが、6日の第二戦は1900人に減ったという。開幕戦以降観客が減ることはある程度予想はしていたはずだが、ここまで減るとはフロントも想定していなかったのではないだろうか。原因はたくさんあるのだろうが、この「応援スタイル」も大きな原因の一つではないかと思う。

欧州のプロバスケリーグがそうであるように、bjリーグもサッカー式の応援を取り入れれば、動員数はもっと増加するのではないか。観客が楽しいと思うものは何なのかもっと考える必要がある。この「応援スタイル」はbjリーグの今後の課題になるであろう。

金石 浩爾



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