SEEDS-net  vol.40
2005年11月 21日発行


ここ最近、めっきり寒くなってきましたね。みなさん、いかがお過ごしでしょうか。今、SOJでは今シーズンのイベント計画トークに華が咲いております。スキー、スノボにスケートでしょ…そう、雪合戦がしたい!なんて声も。これは実現するだろうと思いますのは鍋パーティ…ですかね☆笑 今回のメルマガも寒い冬にピッタリのお鍋っぽい感じでお届けいたします。 メンバーの気持ちのこもった温かく、そして内容てんこ盛りでかつゼイタクな…味わっていたただければわかります。ではどうぞ〜♪

<もくじ>
マイレポート 埼玉ブロンコスホーム開幕戦
マイレポート 百年構想シンポジウム「ドイツに学ぶ、日本のサッカー」
マイレポート さあ、早稲田が帰ってきた
マイレコメン 日韓ワールドカップの覚書

+ マイレポート + 埼玉ブロンコスホーム開幕戦 
自分とバスケットボールの関係。

「愛着」…無い。
「興味」…そんなに無い。
「ルール」…詳しくは知らない。
「スラムダンク」…まともに読んだことがない。

バスケに関しては吉幾三の田舎並みに何も無いタカハシジョウジが、
日本初のプロバスケットリーグ「bjリーグ」の試合を見てまいりました。
観戦テーマは「こんなオイラがゲームのどこに面白みを感じるのか?」
ほら、きっとbjリーグの成功って私みたいな人間をどう魅了し取り込んでいくのか
っていうのが鍵を握るんではあるまいか、そう睨んでいるんです。
リーグは、チームは、選手は自分に何を提供してくれるのか、
どんな素敵な経験を積ませてくれるのか。
まぁ、そんなことはともかくレポートに入りましょうかね。


会場は所沢市民体育館。
去年の6月に完成したとあってキレイな建物、
丸みを帯びた外見はなかなかにオシャレです。
「まごころ国体」パワー、ここにあり!といった感じですが、
プロの試合を行う会場だもの、この位の品と格がなくっちゃ!
そして肝心の対戦カードは「さいたまブロンコス対新潟アルビレックス」。
さいたまブロンコスのホーム開幕戦となります。埼玉に生まれ育って早20年の私。
愛してやまない埼玉に誕生した新たなスポーツ文化の息吹を感じてやろうじゃないの!
何だかテンション、上がってきました↑


13時30分開場、試合会場のメインアリーナに足を踏み入れると
そこには聞きなれた音楽が。

あ、「世界が終わるまでは・・・(WANDS)」だ。

その後BGMは「あなただけ見つめてる(大黒摩季)」「君が好きだと叫びたい(BAAD)」。
つまる所…
スラムダンクテーマソングのオンパレード。
バスケコート、観客席にやたらといるミニバスケット少女集団、
コート脇から聞こえてくるボールが弾む音・・・
そんな会場の雰囲気とBGMは、「冬とコタツ」ぐらい抜群の組み合わせ、
何だか妙にホッとする。


古き良きJ−POPを鼻歌で歌っていると、一点BGMがHIPHOP調に。
それとともに、マイクの音量上げすぎのMCがなにやら早口で喋り始める。
ほとんど聞き取れないが、最後に「ヨロシク〜〜!!」という声とともに、
大勢のチビッコ達がコートに散らばり、踊りだす。
腰をクネクネ、腕をクネクネ、首をクネクネ。
とにかくコート上のみんながクネクネしまくっています。
なるほど!これが、リーグが売りにしている華やかなダンスパフォーマンスだ!

フォーーーー!!!イエーーーーー!!!!

・・・とは行かず正直、退屈。あくびを2連続、
本場感もしくは高揚感は感じられず、周りの観客も冷めている。


とはいえ、この退屈さはきっとbjリーグの運営側に問題があるのではないと思う。
あるとしたら、本当の本場の臨場感(つまりNBA)を知らない受け手側の自分の問題だ。いくら本場の臨場感を演出してくれても、それを楽しめるだけの度量が無く、
ただただ本場が自分にとって遠くかけ離れた存在であることを思い知らされるのだ。
HIPHOPで秩父音頭。
このぐらいがきっと埼玉県民・タカハシジョウジの許容範囲の気がする。


『演出される本場感、臨場感。それに対して戸惑う自分。』
試合に入ってもなお、この図式は当てはまり続けた。
例えば試合中のMC、異様としか言えないほど叫び、盛り上がる。
「さぁ、ブースター(バスケの観客。サッカーでいうサポーターの事。)のみんな!ブロンコスをブースターの声とハートで盛りたてるんだ!!」
「うわぁ!!今こそブースターの声援でチームを、選手を救うんだ!!」
いやいや、そんなコト言われても・・・
MCが「本場さながらの一体感」を叫べば叫ぶほど、
どうしていいか分からなくなる自分がいた。


前半終了、ブロンコスが11点のリード。何だか、どっと疲れている。
メインアリーナの外にある物販コーナーに足を伸ばす。こちらは本場でも何でもない。
フリーマーケットみたいな雰囲気、品揃えも良いとは言えない。
ゲームだけでなくゲームを取り巻く環境にも、もう少し力を注いだ方がいいのでは?
と思う一方で、今はこのお手盛り感、アマチュア感が恋しい。
bjリーグ饅頭、800円。
なぜに饅頭かという疑問はさておき、
物販コーナーにおいて圧倒的存在感を醸し出している。
ついつい購入、味はカスタード味、日本茶が恋しくなる。

後半開始早々、アルビレックスが猛烈な勢いで追い上げる。
ブロンコスもつまらないミスとファウルで相手の勢いを加速させてしまう。
得点差はジャンジャカ縮まる。
53−53、第3クオーター終了時点でついに同点のスコアに。


その頃からである。

自分の気持ちと会場の雰囲気が
一体になってきたのは。

というのも、その頃のMCは、

チャンスなれば「イケーーー!」
ピンチになると「うわぁーーー!!」
3ポイントが決まれば「ッシャーーー!」

およそ実況ともMCとも言えないものになってきたのだ。
しかし、そのMCの声は自分の心の声と同調していた。
試合の緊張感がグッと増したこの頃、
MCもただのブースターに成り代わり、素直なリアクションを取るようになったのだ。
最終クオーターに入ると、全く同じタイミングで同じ声を発していた。

試合終盤、ブロンコスが息を吹き返す、プレーの激しさがそれまでとは違う。
リードが広がっていく、選手の集中力が伝わってくる。
勝利に向けて会場のボルテージも高まる。

そして試合終了、70−63でブロンコス勝利!
その瞬間、隣のおっさんが立ち上がって腕を突き上げた!
ハーフタイム時に喫煙所で一緒に眠そうな顔してタバコふかしていたのに。
うん、でもさ、分かるよ、おっさん。
あんたも後半、ようやく「仲間」入りしたんだもんな。実はオレもそうなんだよ。
今度も仲間外れにされちゃうかもしんないけど、また来てみるか?
そうだよな、来てみような。
だって、楽しかったもんな。


試合終了後、コート上では選手が無制限でブースター達のサインに応じている。

遠い本場、近くの本物。本場で楽しめなくとも、本物で十分楽しめる。
 

高橋 丞二 



+ マイレポート + 百年構想シンポジウム「ドイツに学ぶ、日本のサッカー」
2005年11月13日、新宿パークタワー・ホールにて、日本におけるドイツ年の一環として日独サッカー交流展が開催されました。パネリストにはデットマール・クラマー氏をはじめとする、日本サッカーの発展に貢献された方々が来場されました。

講演は第一部と第二部に分けて開かれ、第一部は「日本サッカーの父クラマーと語るクラブ、Jリーグ」と題し、デットマール・クラマー氏・岡野俊一郎氏・賀川浩氏
が、第二部は「百年構想 現在・未来」と題し、荒田忠典氏(Jリーグ経営諮問委員)・傍士銃太氏(日本政策投資銀行)が、それぞれパネリストとして発言されました。

講演は “観戦するだけ”の私には知り得ない“裏方”の話が聞け、大変興味深いものでした。専門的な内容だったので詳しくはお伝えできないかもしれないですが、クラマー氏や、そのほかのパネリストの方々のお話の中には、絶えず“名言”と呼べるハッとする言葉が含まれていて、感動の連続でした。

第一部でクラマー氏は「私が日本に伝えたかったこと」と題名し、身振り手振りを加え、本当に熱く語って下さいました。サッカーにおいて、プレイヤーは試合中にいかにしてボールをコントロールし、質の高いパフォーマンスをみせるか。ダイナミックさにサッカーの美が宿ること、そしてそれはどんなスポーツにも言えること。しかしどんな時代にもサッカーとは非常にシンプルな競技であり、相手よりも少なくとも一点、多く点数を獲るべきスポーツでもあること。その為には、状況を判断し先を予測、そして次に自分が何をすべきなのか瞬時に見極める能力が必要―― ここには書ききれない量の言葉を語ってくれました。それは通訳さんが追いつかず、クラマー氏が謝ったほど!

そんなクラマー氏を、次に講演してくださった岡野氏は“日本にサッカー、そしてスポーツのコーチ学をもたらした人物”と表現しました。それまではそれぞれの指導者独自のコーチ術が指導の中心だった日本に、クラマー氏は理論と技術を分析した、指導者が変わっても指導法は変わらない普遍的なコーチ学を伝えたそうです。そんな岡野氏は自分の心に残っているクラマー氏の言葉として、“ボールから自由になれ”“自分自身に打ち勝つ勝利が最高の勝利だ”“サッカーは、子供を大人に、大人をgentleman、ladyにする”の三つを挙げました。ボールがあってもなくても、自分のイメージ通りに事を運べること。自分で判断し自身の行動に責任を持つこと。単にボールを蹴るのではなく、チームの為にどこに・どのようにボールを出すか考える事ができれば一流。

そういう思いがこもったこの三つの言葉。サッカーだけでなく、他のスポーツにも言えることではないでしょうか? 第一部最後に講演してくださったジャーナリストの賀川氏(現役最高年齢!)は、ご自身の経験から、ジャーナリストは変化するものを追いかける癖があるが、長い目でみていれば優秀なコーチ・監督が言っている事は一貫して同じである、という見解を話してくださいました。また、東京オリンピックのおかげで新幹線が通り交通網が良くなった事が、日本リーグが試合数と観客動員数を伸ばせた要因であるというお話も、中々興味深かったです。

第一部の終わり、クラマー氏は日本サッカーのこれからについてドイツのことわざ“とどまる事はすなわち後退を意味する”を引き合いに出し、Jリーグを維持していく上にさらに向上心を持ち続ける事を課題とされました。それは“goodではなくbetterへ”という言葉にも表されています。

第二部では、荒田氏は「百年構想では地域密着(定着)のために何をすればいいのか?」を、傍士氏は「経営とホームタウン」をそれぞれ話されました。
荒田氏は「クラブありき、ではなくサポーター・地域住民ありきのクラブ」を目指し、サッカーチームを持つ事がその市町村の特徴になるよう運営する、という考えを講演されました。そしてもう一つ大きな課題として、サッカーを定着させる、“サッカーが市民権を得る”ことを目標とすることを発表されました。

傍士氏はドイツでスポーツ経営について学び、現在は日本でスポーツについてホームタウンを推進されています。ホームタウンとなるにはどういった活動をするのがよいか、ヨーロッパやドイツと地域密着の仕方についての相違点や課題を提示してくださいました。しかしホームタウンや発展していくための具体的なことよりも、何もよりも先に「日本ではスポーツの地位が低すぎる」という問題があります。まず日本国内でスポーツの地位を上げなくては!

シンポジウムを通して感じたことは、まだまだ今の状態では日本のスポーツは発展してもし過ぎる事はない、という状況でした。何をもって発展というか、色々あると思いますが、たとえばホームタウンで言えば、地元の人がどれだけ施設に訪れたか、その地域のスポーツチームが地元の人に対してどれだけサービスを提供できたかなどで測れるし、実際そうしているところもあると思います。何はともかく、スポーツには“する人”だけでも、“見る人”“支える人”だけでも成り立たないという単純な事実に気づかされたシンポジウムでした。


杉野 綾美


+ マイレポート +  さあ、早稲田が帰ってきた

僕が早稲田大学ア式蹴球部の試合を見始めたのは、2年半ぐらい前だっただろう。
そのきっかけは単純で、早稲田が好きで、サッカーが好きで、さらにアテネオリンピックにも出場した徳永のプレーが見たかったからである。
この当時、早稲田は関東リーグを24回も優勝している名門にもかかわらず、東京都1部リーグ、いわゆる3部で戦う不遇な時期を過ごしていた。
それでも、早稲田選手の魅力的なプレーに、僕は一目で早稲田サッカーの虜になった。
だが、リーグでは、終了間際に追いつかれるなど、勝負弱さが目立ち、見ている側も時に切なくなり、もしかしてという不安に駆られた。それでも、地力に勝る早稲田は、当たり前に2部へ昇格するものだと思っていた。
しかし・・・
関東2部昇格決定戦で、専修大学に予想外の敗戦。
またしても東京都リーグを過ごすことが決定した。
この時、4年生が流した涙は、いつまでたっても忘れられない。
さらに、プロを蹴ってでも早稲田に入った徳永の冷めた表情に、
もしかしてもう早稲田をやめてしまうんじゃないだろうかという気持ちも湧いた。

しかし、徳永は大学を辞めなかった。
近藤キャプテンを始め、選手全員の顔が変わったように見えた。
そして、
去年、早稲田は見事2部昇格。

もう早稲田の勢いを誰も止められない。
今年の早稲田は、2部昇格初年度にもかかわらず、圧倒的な強さで首位をキープ。
たまに負けることもあったが、もう昔のような不安定さはほとんどなく、むしろ勝負強さが際立っていた。

11月19日、ついに待ちに待った1戦を迎える。
相手は、くしくも8年前に降格を決定した時と同じ、永遠のライバル慶應。
今期2回、慶應と戦っていたが、両試合とも慶應の術中にかかり、前期の対戦では黒星も付けていた。
しかし、試合が始まると、これまでの早稲田の思いをすべてぶつけたような快勝!
見事、9年ぶりの1部昇格を決めた。
これまで、ア式を支えたスタッフ、OB、そして大学サッカー唯一のサポーターUWの喜びもひとしおだろう。

さあ、早稲田が帰ってきた。
来年、早稲田サッカーを愛するものとともに、1部でも暴れまくってくれ!
あ、あと天皇杯もぜひ出場してね(笑)


 

+ マイレコメン + 日韓ワールドカップの覚書
川端康生『日韓ワールドカップの覚書』 講談社

昨年の10月15日、フジテレビ系列で『熱き夢の日 日韓ワールドカップ 真実の裏側』というドラマが放映されたのをご存知だろうか。伊藤英明や藤原紀香がワールドカップ招致委員会の事務局員を演じた、2002年サッカーワールドカップの開催地決定までのドキュメンタリー・ドラマだ。そのドラマに取材協力したのが著者の川端氏であり、原作本といっても過言ではないのがこの本である。 ある一人の男が「日本でワールドカップを開催するしかない」と思い動き出したところから、韓国との一騎打ちとなり共同開催に至るまでの一連の動きが様々な関係者のコメントをもとに描き出されている。

本の帯には本文より、こう抜粋されている。
「時代との巡り合せ。そう一言で言ってしまうのは簡単だ。しかし、どんなに時代が後押ししようともしても、そこに夢がなければ何も始まらない。そして、そこに夢があり、それを共有できる仲間がいて、そこに確かな志と硬い覚悟があれば、いつかその夢はかなう――。ワールドカップを巡る日本サッカーの物語は、そう僕たちに語りかけている。(エピローグより)」

90年代、日本の経済界が変化を求められると同時に、スポーツ界も転機を迎えた。しかし、サッカーほど成功したスポーツはほかにはない。野球ではないその他のスポーツと同じ扱いであった日本のサッカーが、今では野球と比肩する日本の2大スポーツとまでいわれるようになったのだ。成功するために必要な条件はさまざまあるが、そういった条件も「熱い想い」がなければ決してやり通せない。そう感じさせてくれる一冊である。
プロ野球再編問題、ラグビーワールドカップ招致、プロバスケットボールリーグ・bjリーグ開幕など、近年スポーツ界ではさまざまな動きが起きている。その動きは、90年代のサッカー界ほどのものになりえるのか。この本を読むと、それを考えずにはいられなくなった。

伊藤 祐己




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