SEEDS-net  vol.46
2006年2月 27日発行

SEEDS-netをご覧のみなさん、こんにちは。 さてさて、トリノオリンピックも昨日で閉幕しました。 日本選手のメダルは女子フィギュアの荒川選手の金だけとなりましたが、 メダルには及ばなかった種目でも、モーグルやスノボ、カーリングなど日本中を沸かせました。 日本は世界有数の豪雪地帯を持っているのだから、五輪シーズンに限らずもっと環境をよくして、 サポート体制の向上が望まれますね。
今回のSEEDS-netは、残念ながらトリノ五輪の記事はないのですが、 スポーツ法務専門行政書士・谷塚哲さんのインタビュー第1回をお送りします。 その内容は……、記事を読んじゃってください!それでは、SEEDS-net vol.46のはじまりはじまり〜!

<もくじ>

ひとから見るスポーツ スポーツ法務専門行政書士 谷塚 哲さん
マイレポート 「何が空気をきれいにするか知っていますか?」
マイレポート テニス日本リーグ
マイレポート ラグビー日本選手権準決勝 早稲田大vs東芝府中

++ ひとから見るスポーツ ++ スポーツ法務専門行政書士 谷塚 哲さん
律とスポーツ。この2つの言葉の組み合わせから、読者のみなさんは何を思い浮かべますか? 「代理人!」と答える方が多いことでしょう。野球やサッカーなど、トップスポーツ選手の“エージェント”として活躍する弁護士の方の注目度もここ10年もしないうちにかなり高くなってきています。 しかし、そうした代理人ではないスポーツの分野で活躍する法律家の方がいます。それが、今回インタビューさせていただいた谷塚哲さんです。「トップよりも、裾野のほうが多くのニーズがある」と、全国のスポーツクラブから法律に関する問い合わせを受けています。行政書士としての立場から、クラブの設立や運営を見ています。

今回の「人から見るスポーツ」は、クラブの運営者や教授陣ではなく、ちょっと違った視点からお送りします!


≫≫ 3年前まではサッカー一色

スポーツを始めたのは小学校くらいですね。僕らが小学生のときは大体野球がメインでして、普通に野球の少年チームに入っていました。小学校4年生か5年生にキャプテン翼が流行ったときに、野球と掛け持ちでサッカーを始めました。中学校からはサッカー一本になりましたね。

中学校は、埼玉県では一応県大会で優勝してとか、そのぐらいのレベルでやっていました。中学では県の選抜のキャプテンとかやっていて、そのまま高校に行きました。高校では一応全国大会にも出て、そのまま大学行ってという感じです。大学でも4年間ずっとサッカーをしていました。

僕が高校を卒業するときって、まだJリーグがなかったんで、サッカー続けたいって奴は普通大学へ行ったんですよ。けど、大学4年が経つとちょうど、川口とか前園とか城とかいわゆる高卒ルーキーがもてはやされたとき。大卒ルーキーっていうのはそんなにいなかったんです。僕はどっちかって言うと、仕事続けながらもある程度のレベルでサッカーを続けたい、要は社会人サッカーみたいな感じで続けたいなと思っていたんです。 たまたま大学卒業する4年生のときに、地域リーグ・関東社会人リーグのあるクラブチームに誘われたんです。ちょうどいいなって思って、自分で仕事は見つけながら、そっちのクラブチームで3年前、30歳までサッカーメインでやっていました。


≫≫ そして行政書士へ

自分でも引退だなっていう時期分かるときってあるじゃないですか。27、8くらいになると。それで将来のことを考えたときに不安があって。今の仕事を続けていてもいいんだけど、自分のメインであるサッカーがなくなったらつまらないなっていう恐怖心みたいなのをすごく感じたんですよ。 ただ、もう体が動かなくなって、ついていかなくなっちゃったら駄々こねていてもいられないし、仕事していかなきゃいけないと思ったときに、とりあえずサッカーを辞めちゃったら、今の普通の仕事はつまらないだろうなと思って。じゃあそのサッカーと同じくらい情熱を注げられるような仕事はないのかなって思ったときに、なんとなく法律の仕事ってかっこいいっていうすごく甘い気持ちからなんです。 まったくスポーツとは正反対の職業だし、チャレンジするにはいいかな、やってみようかなって思って、勉強を始めたっていうのが始まりですね。


≫≫ 「町の法律屋さん」は1番自分に合っている

まず、選ぼうと思えば弁護士、行政書士、司法書士のどれでも選べ、勉強することはできたんですけ
ど、内容を見ると行政書士が一番自分に合っているんじゃないかと思ったんです。

弁護士になるために今から5年、10年と勉強をするのはもったいないと思ったんです。法律をずっと勉強したいって思っていたわけでもないので、もうちょっと気軽にと言ったら変ですけど、肩の荷の軽い法律家がいいと思ったんですよ。あと、たまたま僕の父が弁護士にはなっていないんですけど、法学部だったんです。法律家といっても、正義ばかりじゃないということ小さいころに聞いた記憶もあったんで。

司法書士はメインが建物や土地の登記なんですよ。家を買った、『じゃあこれは誰々さんのものですね』って国に登記するんですけど、その仕事ばかりじゃ自分は続かないかなって思っていました。

じゃあ、行政書士って何ができるのかって言うと、基本的には法律を使って許認可申請を取ったりとか、法律相談をしたりするんです。でも、もうちょっとフランクなんです。よく「町の法律屋さん」なんて言われているんです。本当に気楽に、一般市民に対して法律相談ができるっていうのがあったので、1番それがいいかなって思ったんです。


≫≫ 必然的にスポーツ法務へ

最初は、法律とスポーツを絡めることは全然考えていませんでした。しかし、試験に合格して、いざやろうと思ったときに、仕事の幅が広すぎて、法学部出身で法律専門でやっている人たちと今さら立ち向かおうと思っても、自分でやっていてもどうかなって思ったんです。 弁護士と行政書士って、司法書士みたいに登記の専門、税理士みたいに税理の専門というように専門分野がないんですよ。弁護士は法律関係ならなんでも首を突っ込めるし、行政書士も扱う仕事が許認可だけで1万種類以上あるって言われているんですよ。さらに法律相談もできますしね。

じゃあ、何か自分の得意な分野で何かうまくマッチングできる分野は無いかなって考えたときに、やっぱり自分はずっとスポーツをやってきて、スポーツ関係の人脈がある。もしかしたらスポーツ分野って結構法律知識とか契約の知識とか必要なんじゃないかなって思ったんです。 そこで、ちょっと投げかけてみたら、『そういう人、ぜひ欲しいんだよ』って言われたんです。スポーツの業界だったらそこそこ僕も詳しいので話しやすいですし、人脈もあるのでっていうので始めたのがきっかけですね。 法律だけ知ってても駄目だし、スポーツのことだけ知ってても駄目。法律とスポーツの現場っていうのを、うまくマッチングできるような人材が1番適してるのかな。それがもしかしたら自分じゃないかなって(笑)。


≫≫ スポーツ法務事務所開業

事務所は僕が1人で全部やっていて、行政書士だけではできない部分は、一応仲のいい弁護士に頼んでいますね。できれば将来的には全国的にネットワークを張ってきたいなっていうのがありますね。僕らが全国を飛び回るのか、もしくは僕らみたいな考えを持っている法律家の先生がどんどん出てきて、横のつながりでやるのかっていうのはまだ分からないですけど。 現状だと、関西とか北海道といった事務所のある東京から離れた場所の人からもメールが来ます。『スポーツでやっている先生が他にはなかなかいないんで、ホームページを見て連絡しました』っていうのが実際あるんで、全国的には実際足りてないなって気がしますね。


――と、今回は谷塚さんがスポーツ法務専門の法律事務所を開業するまでの経緯のお話でした。次号は実際のお仕事の内容、また法律家といった視点から見た日本のスポーツについてなどをお送りします。


――谷塚 哲さん プロフィール――
やつかてつ。1972年、埼玉県生まれ。東京都行政書士会渋谷支部所属。中学、高校、大学と全国レベルでサッカーを続け、大学卒業後も仕事の傍ら関東社会人サッカーリーグでプレー。東京都代表として国体優勝も経験する。3年前に選手を引退し、行政書士となる。2005年度よりスポーツ法務専門の法律事務所を開業し、自らの経験と行政書士としての知識を活かし、スポーツ法務の専門家を目指す
事務所ホームページ:http://www.geocities.jp/yatsukagyouseishoshi/



舟橋 弘晃、神谷 隆太



+ マイレポート + 「何が空気をきれいにするか知ってますか?]

「何が空気をきれいにするか知っていますか?」これはGSAの方に頂いた名刺の一番上に書いてあるメッセージです。この記事を読みながら少しそれについて考えてみてください。

2月23日、渋谷T's salonで開催されたNPO法人グローバル・スポーツ・アライアンス(GSA)のセミナー「スポーツを通じた環境教育への可能性」に行ってきました。

思えば今年度は、国連が制定する「スポーツと体育の国際年」。スポーツが世界の抱える様々な問題を解決するためのツールとして活用していく年度でした。

GSA理事の岡田達雄さんは、21世紀の課題は今の世界を持続可能なものにしていくことが未来のためには大切であり、その一番のものが環境であると述べ。また、環境変化に敏感な世界に広がる10億人のスポーツ愛好家が立ち上がらなければならないと言います。

今世界中で盛り上がっているオリンピックも、シドニー大会ではオゾン層破壊による、紫外線の問題が取り挙げられました。温暖化など地球の生態系が崩れて雪が思うように降らなくなれば、冬季五輪は最初になくなるかもしれないスポーツイベントかもしれません。より身近なもので考えれば、光化学スモッグでスポーツ活動を中止になった経験を持つ人もいるでしょう。

スポーツ環境と言うと、体育館やスタジアムなどの施設のことをまず思い浮かべるかもしれません、しかし僕らがスポーツをするためには、母なる自然の力があってこそ。環境問題と聞くと、僕らはその必要性を感じながらもの、難しい問題だと、一歩引いてしまうきらいがあります。

ただ、そんな大それたことを考える必要はないのです。日本では、義務教育を通じて環境問題に触れ、環境を良くするための術を学んでいるのだから。しかし、それがあくまで座学で終わってしまい、実現されていないところに問題があると岡田さんも言及しています。

一方で、世界では1998年IOCがアジェンダ21の中で環境アセスメントに関して言及し、FIFAは今年のドイツ大会から、「グリーンゴール」という、国家レベルでの環境対策の具体的な目標値を標榜しています。また、CSR(企業の社会的責任)として環境問題を取り上げるスポーツ関連企業も増えています。スポーツに求められる視点はビジネスから社会福祉に移行しているのかもしれません。

そうそう、文頭の質問に答えていませんでした、「何が空気をきれいにするか知っていますか?」

その答えは自然環境という当たり前のものです。
そして自然環境を守るのは僕らの良識と、それに基づいた一人一人の行動。
それらが環境ムーブメントへの小さくとも偉大なる一歩目となるのです。


GSAのHP:http://www.gsa.or.jp/jp/index.shtml

篠 雄也



+ マイレポート +  テニス日本リーグ

ニスの試合を見ると言ったら、当然多くの人はプロの試合を思い浮かべるだろう。先日も東レパンパシフィックテニスが行われ、元女王ヒンギスの復活劇は大いに話題になった。 ヒンギスが女王シャラポアに挑み完勝した準決勝、復活優勝の懸かった決勝はテレビでも昼間放送され、サーブ前の静寂の中にある緊張感やプレーの巧みさはテレビを通してでも十分伝わってきた。会場となった東京体育館は超満員、この試合に多くの人が商品としての価値を認めた証拠だろう。テニスに関して初心者の私のような人にとっても、試合内容自体は別にして興味を引く試合だ
った。

東レパン・パシフィックテニスの決勝のちょうど2週間後、同じく東京体育館でテニスの試合が行われた。テニス日本リーグ決勝。日本リーグと言われてもピンと来ない人は多いが、企業チームが参加して日本一を決めるもの。 たまたま見に行く機会があったのだが、個人的にとても楽しめた。

客層は自社のチームを応援する社員、選手の家族や知り合いで大半を占める。プロの試合では好プレーに対して敵味方関係なく拍手と感嘆の声で会場が包まれるが、日本リーグのほとんどの観戦者にはひいきのチームや選手がいるため、応援にも当然熱が入る。 さらに、4試合同時進行で見る側にとっても休む暇がない。イメージとしては野球やサッカーの応援にも近いものがある。静寂の中の緊張感は全くないが、その戦いには熱いものを感じた。素人目に見てもプロの試合に比べれば技術面では劣る。しかし、会場の雰囲気にはプロの試合とは違った魅力を感じた。

テニスは生涯を通じてプレー出来るスポーツとして定着し、健康づくりやコミュニティーづくりにも一役買っている。マネジメントの方法次第では今後見るスポーツとしても人気スポーツとなっていけるかもしれない。

石黒 祥樹


+ マイレコメン + ラグビー日本選手権準決勝 早稲田大vs東芝府中
−43。大学生対社会人の戦いがある日本選手権では、そう珍しくないスコアである。

しかし、この試合においては、大学生、社会人、といった枠は関係ない戦いである。なにせ、早稲田は先週、今季トップリーグで4位に食い込んだトヨタ自動車ヴェルブリッツを下して勝ち上がってきたのである。 日本で上位四つのラグビーチームに
「大学生」「社会人」といった区分は必要ないだろう。むしろ、両者に対して失礼である。決勝進出に向けた戦いに、相手の胸を借りに行くチームは皆無だ。

そうとは言っても、「社会人に挑む大学生」という構図は、周りの人間から見ると、普段は交わることのない両者であるために興味深いものである。それも、お互いに
「No.1」の称号を持ったもの同士であれば、なおさらな話だ。 「史上最強」との呼び声があり、圧倒的な強さで対抗戦・大学選手権を制してきた清宮・佐々木組、早稲田。一方、トップリーグ・マイクロソフト杯優勝に続いて、昨年は惜しくも逃した三冠を狙う東芝府中。「貫禄の勝利」か「波乱の幕切れ」か。どちらにしても、いい試合になるのは間違いない、と期待を胸に秘める人が大勢いたのは、秩父宮をほぼ満員に埋め尽くした観客数が物語っている。

だが、スコアも内容も完敗だった。からだのサイズが遠目からでも、全く違う。タックルの強さが全く違う。見事に、相手の術中にはまってしまった。正攻法に力勝負に持っていかれてしまったら、勝ち目は少ない。たしかに、先週に引き続いて、トップリーグの上位チームと戦うことは酷かもしれない。 しかし、その部分を抜いて考えたとしても、東芝府中との差は大きかった。「パスがもう一本通っていれば」、「抜け出して独走できていれば」、また試合の結果は変わっていたのかもしれないが、それをさせない東芝府中の強さ。「球際」という、距離にして一番短い差が、大きな差を生み出したのであった。

この試合で清宮監督は、監督の椅子から降りる。「体格、能力で劣るチームが『やればできるんだ』とのメッセージを伝えることができた。僕のラグビー哲学は1人でも多くの『ラグビー馬鹿』をつくることです」。この清宮イズムは早稲田ラグビー部に染み渡っている。その証拠として、彼らは頑なにトライにこだわった。「PGでは、追いつくことは出来ない。勝つためにはトライが必要」。この彼らの気持ちは十分伝わってきた。 「どんな相手でも、最後の最後まであきらめない」。これぞ、まさしく「ラグビー馬鹿」。試合終了後、No.8のキャプテン佐々木は清宮監督にこのように告げた。「これが終わりではありません。日本のラグビーを動かしていきましょう」と。

ラグビー日本代表が世界レベルで活躍するには、「体格、能力が劣るなかで、いかにして戦うか?」という問題を考えなくてはならない。そのためには、最後まであきらめないという、清宮イズムを欠かすことは出来ない。ただ、私が望むのは、「ラグビー“だけ”馬鹿」が増えて欲しくはない。 スポーツ選手が自分のプレーだけのことを考えて、一生を過ごしていけない。自分の将来は当然、ラグビー界、スポーツ界全体の将来まで考えることが出来る人物、それが「真のラグビー馬鹿」と、私は思う。日本ラグビーがワールドカップ開催権を逃すなど、さまざまな危惧がされているからこそ、そう思うのである。

西山 裕貴
 



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