SEEDS-net  vol.51
2006年5月 8日発行

読者の皆さん、こんにちは。今年のGWはいかがでしたか?天気に恵まれる日が多
く、スポーツ日和な一週間だったのではないかと思います。 一部のSOJメンバーは東北へ行ってきました。その模様は次号にて!! 新聞の報道によりますと、5月3日は各種のスポーツイベントをあわせると39万人が観戦をし(スポニチより)、 6日、7日に行われた、J1・12節の入場者数が25万4578人となり、1節の入場者数の記録を更新したそうです(朝日新聞より)。 このスポーツの波に乗って、サッカーW杯、バスケの世界選手権、そして2016年の五輪招致と乗り越えてほしいものですね。 それでは、今号もお楽しみください。

<もくじ>

ひとから見るスポーツ クラブマネージャー鼎談会
マイレポート 新しい地域密着
Sino's Works スポーツは何が楽しいのだろうか <新連載のご挨拶>

++ ひとから見るスポーツ ++  クラブマネージャー鼎談会

「総合型地域スポーツクラブ(以下総合型 クラブ )のクラブマネジャーを会わせてみたら面白いんじゃない?」ひょんとした、SOJメンバーの一言から、始まったこの鼎談会計画(ちなみに、「鼎談」と書いて、「ていだん」と読みます)。合宿以外では、初の大勢でのインタビューであり、初の複数の方への「人から見るスポーツ」となり、個人的な話ですが、初のインタビューの編集、という初モノいっぱいとなる今回の「人から見るスポーツ」です。参加者は、レッズランドを代表して林 恒宏さん、所沢市西地区総合型地域スポーツクラブの林 隆弘さん、北園クラブを代表して鬼倉 龍英さんです。

≫≫ どのようにクラブマネージャーに辿り着き、その後は…

株式会社三菱自動車フットボールクラブ事業本部、レッズランド担当課長・林 恒宏(通称ツネさん)の場合。

「静岡の大学を出まして、財団法人静岡県サッカー協会の事務局で2年ほど仕事をしていました。財団法人は行政と同じで、新しい情報が入ってきても、協会として動きをとろうとしても、なかなか動きがとれなかった。」

その中で仕事をしているうちに、ヨーロッパには様々な世代の人々が、様々な種目のスポーツをすることができる、地域スポーツクラブの存在を知る。しかし、このままではどうにも出来ない。そこで、当時このように思った。「行政を動かすには、自分が地方議員、市議会議員になるしかない。」そして、タイミング良く静岡市議会議員選挙があり、立候補するが…

「静岡市に総合型スポーツクラブを作るという公約で落ちたんだけど、公民館を借りてシニアの体操教室をはじめました。そのクラブをやっているうちに大学の先生が、共感を覚えて、コミットメントしていただいて、始めたのがピュアスポーツクラブです。NPO法人で今も会員500人くらいいて、いわゆる総合型を立ち上げました。」

しかし、いざ始めてみると、すぐ壁にぶつかった。立ち上げからのクラブ運営は、独学で何とかしていたものの、キャリアや収入は、どうにも出来なかった……次なる道を探す…

「総合型を育てようとする行政機関の中に、(※1)広域スポーツセンター があるのね。そこの指導員、要はクラブを作るための指導員の公募があって、それに私と実は林隆弘くんも応募して、一緒に仕事させて頂くチャンスを得ました。その(※2)専任指導員 の仕事をして、埼玉県にたくさんの総合型の芽を作って、今は埼玉県内にたくさんの総合型が出来てきました。そして、日本体育協会でも同じクラブ作りをしていて、そこの指導員(クラブ育成アドバイザー)に転籍した後に、レッズランドのお話をもらいました。仕事内容はレッズランドに関わる全てのマネジメントで、あらゆることを仲間8人でやっています。」

(※1)広域スポーツセンター⇒都道府県内のすべての総合型クラブの設立、運営、活動を支援していく公の機関。(文科省が 2000 年に策定してスポーツ振興基本計画にも盛り込まれている。各都道府県に 1つ)

(※2)専任指導員⇒クラブの設立等に関する知識を有した専門スタッフ(専任指導員― クラブ設立経験者)を配置することにより、ふぁいぶるクラブ育成に関するノウハウを蓄積していくとともに、クラブづくりのキーパーソンとなりうるスポーツ指導者等に指導・助言し、クラブが円滑かつ継続的に運営できるよう様々な相談に対応する。(埼玉県)

ツネさんは、一度クラブマネジャーの道から外れた。しかし、再び、クラブマネ ー ジャーロードに戻り、今はレッズランドとともに、走り出している。


所沢市西地区総合型スポーツクラブ、前クラブマネージャー・林 隆弘(通称タカさん)の場合。

「大学二年生くらいから本格的に「総合型クラブ」というものを学んで、いつかはクラブマネジャーになろうと思って勉強していました。今現在も、NPO法人として福島県福島市で活動している『エフ・スポーツ』のクラブ設立と運営に携わりました。その後、大学院(2002年)の10月だったかと思うのですが、早稲田大学スポーツビジネス研究所で、埼玉県広域スポーツセンターの専任指導員という立場の公募がありました。私も応募した1人でした。結局、専任指導員ではなかったのですが、事務局員といった形で林恒宏さんのサポートする役として約1年、勤務しておりました。また、スポーツビジネス研究所では、その後、鬼倉さんが関係されている北区のフラッグフットボール教室プロジェクトの事業も担当したり、研究所の自主事業として総合型クラブに関するセミナーを企画したりもしました。」

総合型クラブの様々な事業に関わり、かけがえのない経験を得るという学生生活を送った。そして、ついにクラブマネジャーの椅子に座った… さて、現実は?

「このクラブが文部科学省のモデル事業だったという経緯もあり、また、やはり早稲田大学の先生方が積極的に関わっているということもあって注目されていたこともあったの
で、テレビ朝日のニュースステーションに取り上げられました。パソコンを見ながら、キーボードを叩いていた人が私です(笑)。実は、あと3日くらいで、このクラブのクラブマネジャーを辞めるという状況にあります。そして、そして、これからは、有限会社TFPという会社に移り、その会社で埼玉県広域スポーツセンターの事業を受け、専任指導員として、まさしく恒宏さんがやっていたことを行うことになりました。もう4月から活動を始めていま
す。また、この会社では、ウチが(※3)指定管理者ではないのですが、指定管理者になっている業者さんと一緒に、事業の連携を行うなどのコンサルティングを展開しています。」

(※3)指定管理者制度⇒公共施設の運営を民間団体に委託する制度。プロチームも名乗 り出るケースもあって、よりいっそう注目されている。



北園クラブ、クラブマネージャー・鬼倉 龍英(通称オニクラさん)の場合。

「今は、シーホース・スポーツ・ディベロップメントというスポーツビジネスコンサルティング事務所の代表をやっています。お二人とは、ちょっと畑違いのところから、総合型に向かいました。」

「大学を出て、最初は民間のフィットネスクラブに就職しました。そこでは、現場のことをやりながら、すぐにハイパーフィットネスという、まだ1年も経ってないようなベンチャー企業に移っていきました。その職場では不採算店舗の再生ということをやっていました。」

そして、ある一つの仕事から、総合型と出会い、そして惹かれていく…

「タラソ福岡という、福岡県の(※4)PFIの施設の再生を担当しました。そのときに総合型スポーツクラブ、という言葉を聞いて、日本体育協会の理念を見たり、いろいろ調べたりして、『こんなに素晴らしいこともあるんだ。』と思いました。しかし、調べれば調べるほど全国にあるクラブは、問題点としてしっかりとしたマネジメントモデルができていない、補助金がなくなったときに運営ができない、といったことがあると感じたのです。せっかく良い理念なのに、マネジメントできる人材が少ないこと、モデルが確立していないということが分かった時に、ちょうど独立を考えていまして、とっさに独立をしました。今の仕事としては総合型だけではなくて、民間相手とかPFIとか、指定管理者のほうのコンサルティングもやっています。その時に、みなさんご存知の間野先生がPFIに来られて、東京都の北区で廃校になっている総合型地域スポーツクラブを作りたい、というお話を聞きました。その目的としては、そこでしっかりとしたマネジメントモデルを作る、全国に普及できるようなモデルを作っていきたい、ということが挙げられます。そして北園クラブの立ち上げをしました。」

(※4)PFI•  (Private Finance Initiative) ⇒これまで、国や地方公共団体が行っていたインフラ・施設整備、およびその運営を、民間の資本やノウハウを利用して、効率化すること。

コンサル発の、マネージャー経由、○○行きの運転手オニクラさん。三者三様のクラブマネージャーまでの道。しかし、広域スポーツセンターで繋がったり、北区で繋がったり。それ以上に繋がっているのは、総合型クラブの素晴らしさ、未来への期待であることは、間違いない。



≫≫ お三方に聞いてみた、総合型クラブの定義ってNANDA??

一言で表すオニクラさんの場合。
「『多種目、多世代』・・以上(笑)。もちろん場所によって、いろんな形があると思うので、あまりにも括りすぎると可能性をつぶしてしまう可能性があるし、いろんな形が生まれてこないから、こういった形態でなければいけない、みたいな部分はないと思う。」

現時点での究極論を語ったタカさんの場合。
「自分の経験から言うと、形を追い求めてしまうのが難しいというのが徐々に感じられてきています。でも、結論としては、関わる人みんなが、それぞれで楽しい感覚、楽しめる形を持っているようなクラブが、総合型クラブではないかと思っています。」

仰天発言をするツネさんの場合。
「もう、その議論は飽きた感じ(笑)。定義なんかする必要はないと思いますよ。あえて定義するならば、様々な(※5)ステークホルダー となる人がいて、組織が存在しているわけです。そういう人たちが簡単な言葉で言うと、いかにハッピーになるような循環が持続的に続いていくか。それを目指そうとすることがクラブというものなんだ、というのが定義で、それが種目であろうが、文化的活動であろうが、なんだって良いと自分では思っています。とにかくもうこの議論は飽きました。」

(※5)ステークホルダー⇒利害関係者。



≫≫ それぞれのクラブの自慢話やモデルケースであるという自負、そしてお金

市場は自ら切り開くものだと考えているタカさんの場合。
「自分が感じ取ってきている『楽しい』という感覚をみんなが持ち始めているのではないかな、という感触をマネジャーが感じていること。 わかりづらいでしょうか。 たとえば、主に指導的立場でクラブに関わる学生さんが活動を通して、保護者や参加者からの評判が良ければ、ひいてはクラブの価値を上げてくれています。学生さん自身もこの事業によって、さまざまな「経験」を積んでくれています。おそらくは、その「経験」を地元に帰ったときやクラブを離れたときに誰かに伝えてくれると思っています。そして、その学生さんを通じて総合型クラブに興味を持つ人が増えてくることをマネジャーが期待しています。そういう意味では、大学が近いということをもとに、次世代へ向けての取り組みもできることが最も自慢できるものになっているのではないかと思います。」

コンサル的な視点のオニクラさんの場合。
「(※6)ウチの自慢はやっぱり学生スタッフですよね(笑)。 そもそも赤羽駅には大きなフィットネスクラブやカルチャークラブもある。北園クラブは駅から1.5キロくらいのところで、そんなに近くないし、施設は昔に作ったものだし、シャワーもない。その中で、どのようなことができるのかが重要で、事前にマーケティングリサーチをしました。そして、『今まで運動をしたかったけど、なかなか運動施設まで行ってやるのは敷居が高い、やらなければいけないと思っていても、お金がなかったり、時間がなかったりして、運動をやれてない人たちが運動できるきっかけとなる場所』というコンセプトを決めました。インストラクターも公募して、その中で自分たちのビジョンに共感を持っている人をセレクトしたりとか、ミニバスケットスクールもしていたり。現状としては、初めての方を定着させることができる指導者を揃えているので、ソフトの部分の質の高さは自慢できると思います。」

(※6)ウチの自慢はやっぱり学生スタッフですよね(笑)。⇒司会の金石は北園クラブにお世話になっています。

Q行政からの助成金の話が出ましたが、北園クラブは自立できているのでしょうか?
「もちろん補助金を否定するわけではないけれど、その使い道をランニングコスト、運営資金のほうにしないと運営が回らないというクラブが多いんですね。補助金というのはいつまでも貰えるものではなくて、限りがあるのです。北園に関して補助金というのは、最初の立ち上げのときは何も無いような状況だったので、職員室にスタジオを、校長室にフロントを作ったりするのに少なからずお金がかかりました。その分を補助金という形で受けました。ただ、それは一時的なものであって、最初の(※7)イニシャルコスト として考えて、後の運営資金については独立採算で従業員のお給料から全てをまかなっていくモデルを作っているところです。このモデルというものを全国に普及していこうとしているところです。」

(※7)イニシャルコスト⇒ 一般的に初期投資費用 。運営するために最初に必要となる建築物や、設備や器具をそろえるための費用。


そして、必ずオチを作ってくれるツネさんの場合。
「一番の自慢は、仕事の『量』だね(笑)だから、みんなに芋掘りからなにまで手伝って欲しいんだよね。我々のレッズランドはある意味Jクラブがやる一つの多種目、多世代のモデルを作る。これが一つのケースになれば、『われわれの前に道がなくてもわれわれの跡に道が出来る』という言葉がレッズランドで出来ているということが自慢ですね。それと最後に言うならば、早稲田の若きエリートたちが集っていただいて、いろいろ我々に共感して手伝ってくれているのと同じように、さまざまな利害関係者がこのレッズランドの理念に賛同してくれて、徐々に共感者が増えているということも自慢だよね。」





これにて、前半戦終了です。次号をご期待ください。

特別編のため、今回は3号にわたって掲載していきます。

レッズランド
所沢市西地区総合型スポーツクラブ WASEDA Club2000
総合型地域スポーツクラブ 北園クラブ


文字起こし 深井 洋平
編集 西山 裕貴




+ マイレポート + 新しい地域密着

4/23(日)、秩父宮ラグビー場で行われたラグビーW杯アジア予選・日本対韓国戦。この試合で史上初の試みが行われた。プロ野球の東京ヤクルトスワローズとの相互サービスの実施である。言わずもがな、スワローズの本拠地である神宮球場は秩父宮ラグビー場と隣接している。秩父宮の観客席から神宮のスコアボードが見えるほど近いのだ。

今回は、どちらかの試合のチケットを持っていれば、もう片方の試合が割引価格で観戦できる(ヤクルト戦は、この日の前の金・土の2日間の試合のチケットが対象)というものだ。また、前日のヤクルトの試合で、ラグビーの試合のPR活動も行われた。

ラグビー場ではヤクルトファンと一目で分かるような人はあまり見つからなかった。
しかし、試合後にラグビー場を出て、神宮球場に足を運ぶ人は多く見受けられた。

ヤクルトは現在古田新監督の下、地域密着のサービスを掲げている。今までのJリーグなどの地域密着は、地域「住民」に対するサービスが中心だった。しかし今回のヤクルトのサービスは、住人ではなくラグビーを見に来た人、つまり地域「来人」をターゲットにしたものなのだ。

神宮球場の周辺は秩父宮のほかにも国立競技場、東京体育館など、日本でも類を見ないスポーツ施設集中地域なのだ。どの競技場間も歩いて数分で行くことが出来る。様々な競技、それも日本トップレベルの大会が開催されていて、どの競技場も駅から歩いてすぐというアクセスの良さもあり、集客率も良い。これらで行われる他競技と連携すれ
ば、今まで野球を見たことの無い人が試合を観戦するきっかけになり、新しいファンの獲得にもつながるかもしれない。

この日ヤクルト戦では、メガネをかけてきた人にプレゼントが当たるメガネデーというイベントを行っていた。こうしたイベントの共有、同じイベントを両方の競技場で行ったり、2つの試合にまたがったイベントを行ったりしても面白いのではないかと思う。

今回の方法はプロだけにとどまらない。大学レベルでも、同じ大学のラグビーと野球の試合を同じ日に組めば、集客が期待できる。特にラグビーでは早稲田や慶応などの伝統校の試合が、日本で最も人気のあるのだ。実際、大学のラグビーと野球の秋のリーグ戦の開催時期は重なっている。しかし現状では、試合があるのは片方だけであったり、同じ日にあっても、時間が重なっていて両方は見ることができない。大学の試合の観客は、母校を応援に来る学生やOBが多い。片方を応援しにきたなら、ついでにもう片方も観ていこうと考える人は少なくはないだろう。野球とラグビーの試合を同じ組み合わせにするなどすれば、より集客効果は高まるだろう。

こうした住人ではなく地域にある施設を生かした地域密着は、都心という他の地域とは違う場所を本拠地にしているヤクルトの長所を生かした優れた戦略だと思う。今後さらにどういった活動をしていくのか期待したい。


神谷 隆太



+ Sino's Works +  スポーツは何が楽しいのだろうか?
スポーツは何が楽しいのだろうか?もちろん、否定的な意味ではない。
ただ、少し自分の中で何が楽しくてスポーツを行っているのか考えて欲しいのである。
仲間とスポーツを通して通じ合えることか?スポーツという世界の中での勝利によってもたらされる爽快感?はたまた発汗と言う生理現象的な快感か?

時に、スポーツを学んでいると、自分が体験したことのないスポーツにしばしば出会う。単純な好奇心からか、ただ私の性格がひねくれているからかどうかは分からないが、
そんな時には決まって投げかける質問がある。

「そのスポーツのどの辺りが特に面白いですか?」

こういった質問をした時に、すぐに答えられる人はそうそういない。
かくいう自分も、「サッカー」というスポーツが好きではあるが、「サッカー」の楽しさの要因など並べることもできないのであるのだから、これは当然の結果なのかもしれない。

ただ、私はこうも思うのである。スポーツの「楽しさ」は定義できるものではないと。
もちろん、スポーツ以外のレジャーと呼ばれる多くのものにも同様のことが言えるだろう。
スポーツが楽しいのは、悲しいときに涙が出て、お腹が空くとグウと鳴るのと一緒である。
それは、頭で考えるようなものではなく、もっと肉体的で感情的な反射や反応として捉えるべき事象なのだ。こういうことを考えると話がつきない。

なのでというのは、半ば強引ではあるが、私は自分が何故か魅かれてしまった「スポーツ」というものを、僭越ながらも考察し、誠に勝手ではあるが毎号記事にしていきたいと思う。
そしてこれをもって連載挨拶の言葉とさせて頂きたく思います。
もちろん、読むも読まぬも個人の自由。
ただ、できれば一読して批評などを頂けると筆者の私としてはとても嬉しいのである。

2006年5月8日 篠 雄也




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