前回の記事は、編集上のミスにより不完全な内容になってしまったことをお詫びします。 完全な記事はバックナンバーからご覧になることが出来ますので、お願いします。 今後は、このような事態が起こらないように、細心のチェックをしていきます。 これからも温かく見守っていただくとともに、これからもよろしくお願いします。
〜前回のあらすじ〜
レッズランドの林 恒宏さん(ツネさん)、所沢市西地区総合型地域スポーツクラブの林 隆弘さん(タカさん)、北園クラブの鬼倉 龍英さん(オニクラさん)のお三方をお呼びして、クラブマネジャー鼎談会(ていだんかい)を開催。自己紹介から始まり、総合型クラブの定義や各クラブの現状を語って頂きました。その続きから、今回は始まります。
Qレッズランドの魅力、必要性をどのように伝えていますか?
ツネさん
「第一に子供たちの健全育成。第二に生涯スポーツの振興。それは障害を持っている人たちでも、お年寄りでも、社会的弱者であっても、スポーツが出来る。ましてや一般の人たちも様々なスポーツが出来る場所をレッズランドが作っていこうということ。第三にはスポーツだけではなくて、コミュニティーを構築する。私はこの三つの理念を全面に出して行動していく。それに対してみなさんは共感を覚える。でも、実を言うと、これだけではダメで、レッズが強くなくてはならない。これは一つのおもしろい観点だね。レッズが弱いと、このような理念を掲げても、サポーターや地域の人たちの理解が得られにくかったりする。やはりレッズは強くなくてはいけない。これがあるからこそのレッズランドの理念に対する共感。ところで、 WASEDA Club 2000 って続きそう? 続かなそうだよね。 」
タカさん
「 「続かなそう」 それ という意見 に対して異論はなくて、しかしながら、その危機感を持続して持っていれば、救いようはあるような気がします。 現状は、 単年度だけで見ると、 WASEDA Club 2000 というのは、収支が合わないという状況です。その原因としては、設立時の、管理的費用部分の見積もりが甘かったということにあります。それを改善していき、きちんと運営できるスタイルを作りながら進めています。」
ツネさん
「あんまり延命は良くないって。尊厳死もありなんじゃない?という話題もあるよね。」
タカさん
「それが地域や会員が望む結論であればありうると思います。それで先ほどのお二方から『マネジメントモデルを作っていくんだ』という話があったわけですが、むしろ危機的状況からどうやって乗り越えるのか、ということも1つのケース、そしてモデルになっていくと思います。これまで、文部科学省のモデル事業を受けて、今も存続しているクラブはほとんどないんですよね。その多くに共通することは、補助金を(※)ランニングコスト として使い切ってしまうということです。この状況を私たちのクラブが克服できたら、これもまた一つのモデルになるだろうと思います。」
※ランニングコスト …企業が経営を維持していくのに必要な費用。
ツネさん「北園は続きますかね?何に一番コストがかかっていますか?」
オニクラさん
「人件費の占める割合が多いですね。北園クラブは指導者、事務局員全てに給与を支払っています。廃校の再生利用で土地代がかからないので、必然的に人件費の割合は高くなってしまいます。収支的にも、現在黒字化しており、仮に賃貸契約を結んだとしても十分運営できるレベルへ向かっているところです。場所については無償で借りられるメリットはあるのですが、施設の利用でかなり制約を受けるというデメリットもあります。オープンの時期や営業時間、事業規模も様々な制約の中で最もリスクの少ないラインを予測し、徐々に拡大しています。」
Qお金の面では、うまくいくのかもしれないのですが、人材面は今後どうなるのでしょうか?現在は山野さん(SOJ創始者の一人)がやっていると思うのですが、北園クラブにとってのこれからの問題になるものはありますか?
オニクラさん
「北園クラブの目的は、クラブ自体を成功させることもありますが、マネジメントモデルを確立し、全国的に普及させていくことも主なミッションで
す。北園も将来的にはNPO法人化して地域の住民でマネジメントできるように進めているところです。人材育成というのも大きなミッションだと思います。 運営 システムも汎用性があるようにできるだけシンプルに分かりやすくしています。通常営業の中でもできるだけ権限委譲をして、少しずつ仕事を覚えてもらっています。自分で全てやってしまうのではなくて、周りを育てていくような仕組みにするんですね。金石君も、他のスタッフも、どんどん成長していて、上手く運営できるようになってきています。」
Q ・個別なクラブの事情を伺ったのですけれど、少し全国の総合型クラブに目を向けて頂いて。あと何年で日本に総合型クラブは定着しますか?それを早めるために必要なことはなんだと思われますか?
ツネさん
「『教育』という分野、文部科学省ラインからスポーツを外すことだね。みんなが見ている観点だと総合型クラブはどうやったらできていくと思う?」
SOJ 「普段の生活の中で『純粋にスポーツを楽しんでいく』ということを、もっと意識することが大事だと思います。」
ツネさん
「ありがとう。大事なことだと思うよね、パッションや情熱を持つことは。僕が言いたいことは、『文部科学省ラインからスポーツを外す』ということは、クラブ作りをひとつのビジネスという観点で見てもらいたい。さっきから僕は『経営資源、ヒト・モノ・カネ』という言葉を繰り返しているけれども、マネジメントというのは、『それをどう循環させていくか』ということになるわけであって、“思い”だけではできないんだよ。“思い”が大事で、始まりだけれども、その中で経営資源を集めてきて、それをどう循環させるか。その観点、発想、行動、そういうことをもっとクラブ関係者の人たちが持っていけばいいと思うよね。今の総合型クラブの人たちは、みんな議論していれば、なんとなくクラブが出来ていくんじゃないか?とか、体育協会が絡まなきゃいけないとか、固定観念に縛られている。『何が本当に、スポーツにとって大事なんだろうか?』から考えていく方法が、僕は物事が早いと思う。だから、これまでの発想は捨てて、何が大事で、それを構築するためにはどういうことが必要か、ということを描きながら行動に移していく、という観点が必要。そして、 その様な人材を育成することも必要だと思うね。」
SOJ 「今のツネさんの話を聞いてタカさんはどういうふうな考えでいらっしゃいますか?」
ツネさん
「三者三様で面白いね(笑)」
タカさん
「どうしたら定着するかと言ったら、定着するためには、まずクラブを作られなきゃ困るので、やはりツネさんが言っているように、みなさんが思ったことを現実のものに変えていってもらえたら、極端な話しですが、ここにいる人数分はクラブが出来る。」
SOJ 「とにかく、クラブを創造する人間が一人でも多くなれば…。」
タカさん
「とは言いつつも、それぞれがクラブを作らなくてもいい。もう既に作られているところに行って、また競合するということは、もちろん体験してみることも面白いと思うけど、一緒にパートナーとしてやっていくとか、三人でやっていくとか、そのようなやり方もあるかなと。だから、共感できる人がどれだけいて、それを現実のものに変えられるか、という思いから行動を起こせる。その変化を上手く出来る人が定着するための人材だと思います。」
オニクラさん
「定着の定義というのが無いと思うので…。例えば今、プロ野球は定着しているの?していないの?ということは、また賛否両論あるかと思います。だから、あと何年というところはなんとも言えません。ただ少なくとも、それを早めるために必要なことは、林ツネさんと同じように、しっかりとしたマネジメントモデルとして確立すること。それから『独立採算の運営体系』という言葉がキーワードだと思います。去年の夏ごろでしたかね。」
ツネさん「そうでしたかね〜」
オニクラさん
「こちらでお 会いしまして、総合型クラブをビジネスモデルとして考える方もいらっしゃるんだなと思いました。以前から総合型クラブの集まりとかで、しっかりと独立採算できるマネジメントモデルが必要だという事を言ってきました。一昔前だと自分が言ったことに対して、お金の亡者のような感じで扱われて、『なんでこんなにお金や経営のことを言うんだ?』という風に見られてきたのですけれど、ちょっと最近変わってきたな、と感じます。そのような所でお話しをすると、相談させて下さい、と体育協会をはじめ、クラブの方が結構来るようになりました。自分のクラブの補助金の終わりが段々と見えてきて、『この後どうするか』ということが 死活 問題になってきているからでした。まだ脱皮しきれていないところは、新しい補助金の話があったら、そこに食いついていますけどね。少なくともそのクラブが生きていくために必要なマネジメントモデルは自力でなんとかしましょう、ということが定着してくればグッ と確立に近づくのではないかと思います。」
ツネさん
「ちょっと聞いていい?スポーツが必要だと思う人はどれくらいいる?( SOJ に挙手を求める。挙手多数)はい、ありがとう。なんで必要だと思う?」
SOJ「スポーツを楽しむ、っていうか、スポーツという言葉の語源から考えると、楽しむことが中心にあって、近代が確立してから時間の観念というのか、労働時間以外の時間をいかに楽しむか…」
ツネさん
「なんかすごいね(笑)なぜ、そういう質問をしたかっていうとね、(※)河野太郎さん は知ってる?自民党の衆議院議員だけど。彼は、ベルマーレ平塚の会長をやっています。この話はオニクラさんにしましたっけ?」
※河野太郎さん …父は国会議員の河野洋平さんであり、祖父、大叔父も国会議員だった。現在は、法務副大臣。
オフィシャルウェブサイト→ http://www.taro.org/index.php
オニクラさん「いや、聞いていないですね」
ツネさん
「この人と会って、話をしました。もっと国レベルで公共事業にお金を使うのならば、スポーツにお金を使ってもらいたいし、そのためには、スポーツは大事だ、と思ってくれる国会議員を増やしたくて、それならば国会議員のネットワークを作ればいいな、と思っていて。その前に ※木之本さん というJリーグの元専務理事 に相談に行ったら、『河野太郎さんに会いに行け』と言われたので、河野太郎さんに相談に行きました。
それで、『 国会議員でスポーツのネットワークを作りましょう』と言ったら、それではダメだと。こ れまでの日本のスポーツは、ある意味で、文部科学省が中央集権的に補助金制度でスポーツを振興してきたわけ。それだと、官僚の天下り先か、役人・政治家の集票マシーンにしかならない。そのようなものにしかならないから、中央集権的なままではダメで、『一回、スポーツをなくしてしまえばいいんだ。地域からなくなってしまえ』とおっしゃって。なくなってしまった中で、スポーツが必要だという危機感を持っていれば、または、もし隣の町で総合型クラブが出来て、しっかり地域に根ざして立派にやっているのなら、それを見習って、もう一回ゼロベースから我々は始めようとする。補助金とかで運営するクラブじゃなくて、自分たちで知恵を出して、作り出そうということを考えるためには、一回ゼロベースになった方が良いんじゃない?ということを言われたんだよね、河野さんに。それもあって、ちょっとみんなにスポーツは必要なの?と聞いてみました。」
※木之本さん ……木之本興三氏。Jリーグ立ち上げに実質的に作り上げた人物で、2002年W杯でトルシエの代理でメンバー発表をし、団長を務めた。元Jリーグ専務理事。
SOJ 「行政との関係として、タカさんは所沢市との関係はどうなんですか?」
タカさん
「良好だと思います。所沢市の場合は、平成十六年四月に、クラブと早稲田大学スポーツ科学部と所沢市の三者で、『クラブを育成いきましょう』という覚書を交わしました。このような覚書を三者で交わすことができたのは、クラブはそもそもモデル事業だったいう強みがありました。具体的な行政からの支援は、最初の大きなものはお金でしたが、今は、完全に金銭的な支援はなしにして、覚書を元に、『目に見えない支援をどのようにしていきましょうか』という協議をお互いに交わしています。そのようなことがあって、行政とはうまくやれているかな、と思うところです。」
SOJ 「レッズランド自体と行政の関わりはどのような形ですか?」
ツネさん
「お金はもらっていませんが、行政との関わりは深いですね。さまざまな法律が関わってきますから。市の許認可がないと動けないことがよくあります。そういう時に、ウチの上司は、市長や知事に会いに行く、というレベルで過激派なんです よ(笑)窓口対応な どでは何も動かない。そこで、
『物事がどうやったら動くのだろうか』
『窓口対応の彼らは誰の顔を見ながら仕事をしているんだ?』ということを考えていけば、自然とその上司、その上司が誰かというと、市長とか議会とかに行き着くわけですよね。そこをどのように我々がコントロールするかを考えながら仕事をしていくか、ということですよね。動かないモノを動かすためには、誰とどういうモチベーションで仕事をしているかを考える。人間がやることだから。だから行政と上手くいくか、いかないかは、当然窓口レベルでもコミュニケーションは取りつつも、どういうパワーバランスがその行政というものに働いて、意思決定がなされているか、ということを見極めつつ、仕事をしなきゃいけないっていうことね。」
SOJ 「さきほど、鼎談会が始まる前に、先に着いたメンバーでちょっと散歩してきたのですが、確かレッズランドがまだプレオープンだった頃にツネさんは、河川敷のところで何か建物を建てる場合には、法律上の問題があって作れない。だから、トイレやコンビニを作りたいのならば、特区にしなきゃいけない、という話が自分の心の中に残っていて、現在はその話の進展はあるのですか?」
ツネさん
「その当時も今でも特区にしなきゃいけない、と考えていますが、もっと壮大なスケールで実は考えていて、レッズランドじゃなくて、レッズとしていっぺんにスポーツ特区とかレッズ特区とか、それくらいの名前でやろう、ということは、今シンクタンクとタイアップして、色々アイデア出しあっています。みんな特区(正式名・構造改革特別区域)って知っている?今の法律じゃ認められてないけれど、その地域では特別に認めてあげようっていう地区のこと。それでうまくいけば、さっきのケースと同じように全国に発信しましょう、法律の改正に踏み込みましょうよ、ということが特区なんだけれども、もっと大きな規模での特区は考えていて、実は河川敷の中は河川法という法律で守られているんだよね。基本的に物を建ててはいけない。下流に住む人に対して害を与えるかもしれないからね。国土交通省が管理しているところになってしまうのですが、そこと我々は折衝していかなければいけない。だから、時間のかかることだし、敵は手強い。
でも、地域からの要望、『このような地元の声が出ています』と言って、ウチも連判で名前を出して、近隣の人達と協力しながら、解決をしていこうとしていることが現実かな。今はその大きな特区を進めようとしています。」
これにて、第二回は終わります。いよいよ来週がラストとなります。クラブマネジャーの実体が明らかになっていきますので、お見逃しなく!
文字起こし:深井 洋平、岸本 靖之
編集:西山 裕貴