| 今年の夏、私は読売巨人軍で二週間のインターンシップを体験した。インターンシップとは、学生が企業で一定期間研修生として働く就業体験のことである。私は大学でスポーツビジネスを勉強しており、授業ではプロスポーツの経営やファンサービスについても学ぶのだが、扱うのは海外のプロリーグ・チーム、日本だと J リーグやバスケットの BJ リーグで、野球についてはあまり取り上げられていない。また一般的には、プロ野球再編問題などを通じて、野球界はファンサービスに熱心でないというイメージも強いのではないか。そんな時に巨人のインターンシップの機会があることを知り、球界の実態はどうなのかという興味もあり、応募したのである。
内容は、ほとんどがファンサービス部門での勤務であった。前述のように、当初は私も巨人はファンサービスにあまり熱心ではないのではないかと思っていたが、実際は予想を裏切るものであった。巨人は、東京ドームでの全試合前に抽選会を行い、当選者はグラウンドでの試合前の練習風景見学や、東京ドーム内の見学などができるのだ。その他にも、 OB 選手によるトークショーや子ども向けのダンス教室など、様々な年代のファンに喜ばれるようなサービスを行っていたのである。
また、 J リーグが提唱し、近年ではプロスポーツに欠かせないものとまでなっているといってもいい「地域密着」。巨人でもこの「地域密着」を重視しており、地元の幼稚園や小学校に、 OB 選手やマスコットのジャビットが訪問し、一緒に運動をして子どもと触れ合う活動を行っている。
しかし、巨人のファンサービスも良いことばかりというわけではない。確かに現在のファンサービスも魅力的な面はあるが、千葉ロッテマリーンズや J リーグの浦和レッズのように精神的な面、「自分たちは巨人ファンであることを誇りにしている」というところまで達するファンを増やすためのファンサービスが少ないと感じた。そういった精神的満足感を与えるサービスが、今後は必要だろう。
また地域密着の件でも問題がある。巨人は全国規模の人気を持つような球団運営をしてきた。いわば巨人にとってホームは東京ではなく日本全国というイメージであった。そのため、地方には巨人ファンが多く、東京のファンを重視することは、地方のファンの軽視につながりかねない。その兼ね合いをどうするのかというのは重要な問題である。
実は自分が今回のインターンシップで最も印象に残ったのは、二軍であるイースタンリーグの試合の勤務である。イースタンの試合は、本拠地のジャイアンツ球場も小さく、観客もそれほど多くない。だが、開門前からいつも並んでいる常連さんや子どもたちがおり、選手とファンの距離も近く、とてもアットホームな雰囲気であった。試合に来ていた子ども達に話を聞くと「巨人最高!」「何回も見に来てるよ」と目を輝かせながら言っていた。彼らにとって野球観戦はわくわくするイベントであると同時に、日常にもなっているのではないだろうか。無論、一軍と直接比較は出来ないが、こうした野球を日常に取り込めるようになるかどうかが、巨人の将来に大きく影響してくるのではないだろうか。
授業で学んだことを実感できる面、逆に直接体験してみないと分からない面など、今回得たものは非常に大きかった。自分の将来に向けてのイメージがまたひとつ膨らみ、学ぶ意欲を掻き立てられた有意義な二週間であった。
神谷隆太
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