SEEDS-net vol.71
2007年2月12日発行
  

 SEEDS-net をご購読いただいている皆さま、こんにちは!新年度を迎えるにあたり、 SEEDS-net 編集部もリニューアルいたしました!今後ともよろしくお願いいたします。 今回は SOJ 創設者である山野氏のインタビューそして、メンバーである佐野っちによる「Sports Illustrations 」が始まります!メンバーそれぞれ、それぞれのカタチで自らのスキルアップに磨きをかけておりますので、ど〜ぞ、ご一読くださいませ!そして、もしよろしければ、ご意見・ご感想をお寄せください★

<もくじ>


++ ひとから見るスポーツ ++  北園クラブ・クラブマネジャー 山野理司さん
  今回は、総合型地域スポーツクラブ「北園クラブ」のクラブマネジャーをお勤めになっている山野理司(やまの さとし)さんをインタビューさせていただきました。山野さんが、私たちのサークル「SOJ」の創始者の1人であるということもあり、今回のインタビューは実現できました。
 
 国民の誰もが、それぞれの体力や年齢、興味、目的に応じて、いつでも、どこでも、いつまでもスポーツに親しむことができる生涯スポーツ社会を早期に実現するために、今、何かと話題になっている総合型地域スポーツクラブに関する貴重なお話や、山野さん自身の経験談を2週に渡ってお伝えします。まず第1週目はその総合型地域スポーツクラブのクラブマネジャーとしての体験談を中心にお送りします。
  

 「クラブマネジャーになるに至った経緯は?」

 大学3年の時からJFAがやっているスポーツマネジャーズカレッジというクラブマネジャー養成事業があり、そこの手伝いに行き始めました。それも初年度で、三年間のモデル事業という形で早稲田大学スポーツビジネス研究所(以後RISB)や間野義之先生(早稲田大学スポーツ科学学術院助教授、SOJ会長)が中心に関わっていた関係でお手伝いすることができたのです。主に事務方の手伝いとして資料配りなどをしていただけなのですが、そこで養成事業に来ている人たちと仲良くなったり、後ろで講義を聞いたりしていました。それで、その養成事業のカリキュラム評価をテーマに卒論を書いて、個人的にはその辺でクラブマネジャーとの関係は終わるのかなと思っていたのです。
  
 ところが、鬼倉龍英さん(当時のマネジャー)が6月でいなくなるということで後任のマネジャーが必要だとなり、その時に間野先生から「マネジャー養成事業を手伝っていたり、卒論を書いたりしているんだったら、もうちょっと現場を見たほうがいいんではないか?」とクラブマネジャーへ誘われました。最初はやんわりとした誘いだったので、触れないでいたのですが、3月くらいに呼び出されて、「さとし 、どうするんだ?マネジャーやるのか?」と言われて、「えぇ〜!?そんな感じなの!?(笑)」みたいな感じでした。間野先生に「さとしがやらないんだったら他にあたらなきゃなんないから、あと1週間で結論出せ!」と言われ、その1週間は相当悩みました。それで、大学4年の時は新しいことにチャレンジしたっていう感じがなくて、淡々とこなしている感じがあったから、新しいことにチャレンジしているときの面白さを思い出し、「じゃぁ、やります ! 」と返事しました。
 
 その後、4月の中旬からクラブに行くようになって、2ヶ月弱、鬼倉さんのもとで研修をし、6月から実際にマネジャーをやるようになりました。間野先生の頭の中では結構すっきりとした流れがあったらしく、「マネジャーの研究もしているし、養成事業も手伝って内容もみているし、現場で実際にマネジャーが何を求められているのかっていうのを見てくればいいじゃん!」というレールに気がついたら乗っかっていたみたいです…(笑)。決め手となったのは、声をかけてもらい、先生からの期待を感じたということと、新しいことにチャレンジしてもいいのかなと思ったことですね。ただ単に学生するだけの院生になって、社会に出た友人に負けたくないなと思っていた時期でもあったので、そういう意味で「挑戦」というようなイメージが強いなかで引き受けたという感じです。
  

 「クラブマネジャーとはどのようなお仕事で、実際に山野さんは何をしているのですか?」

 それいつも聞かれるんですよ(笑)。強いて言うとしたら、仕事は全部です。あること全部やらなくてはならないので。でも他のスタッフと比べて違う作業といったら、どういうふうにクラブを運営していくかを中長期に立っていろいろ考えることとか、会員管理、会費管理、収支の管理など、どちらかというと管理業務のほうが多いです。あとは4月からNPO法人格を取って地域の人が運営していくということが決まっていたので、NPOの準備委員会の手伝いなどもやりました。それとイベントを企画しているときには、行政と折衝とか、一緒にやる団体との交渉もしました。その他、視察が来たときにクラブが出来上がった背景や今やっていること、それからクラブの状態の説明もしました。そういったクラブ視察の受け入れだけでなく、横浜のクラブアシスタント養成講習会の時は視察プラス3時間弱くらい講義をやったりもしました。そういう意味では、決まりきった仕事っていうのはあんまり無いです。
 
 複雑な話をすると、一応現場のマネジャーとして現場の指揮は僕がとっているのですが、北園クラブはRISBと北区教育委員会の協定関係で行われているモデル事業なのです。だから正式な意思決定権っていうのは、北区が持っていて、RISBはそのサポート役、僕はそのRISBから派遣されている形だから、構図的にはちょっと複雑ですね。現場で起こっていることの、報告とか連絡、相談っていうのも仕事に入っています。
  
  
 「クラブマネジャーとして苦労していることは?大学院との両立は?」
  
 全部が苦労な気がします(苦笑)。
  
 社会人経験もないですし、いきなりやれと言われて来てみたものの、サービス業のフロント業務やスタッフの管理もやったことがなければ、年齢が倍も違う行政の方との話し合いなど、未知の世界という意味では全部苦労でした。   
 
 あとは、「学生だと思われてなめられたくない」と思うことが多かったです。私の何が優れているのかっていうのはわからないのですが、ただ確実に言えるのは、担当の行政の方やスタッフよりはスポーツに関する知識が深いということです。特に総合型地域スポーツクラブに関しては間野先生のもとでずっと勉強していたのでそれなりに知識はあって、事例的にも知っていました。また、どういった方向性でやっていきたいのかという、文科省の人や学者とかが考えている方向性を間野先生を通じて垣間見たりしているので、その方向性が見えているっていうのはとても大きかったです。それと、「なんでNPO法人化しなきゃならないの?」とか、「総合型地域スポーツクラブってそもそも何?」とか、「今後どうやっていかなきゃ総合型地域スポーツクラブが生き抜いていけないのか?」ということをわかっていない行政の方もいるという状況が正直ありますね。そのような状況で話をしていく中で、絶対的な優位性まではいかないけれど、学生だからどうこうとは見られなくなってきたかなとは思います。
 
 あと学業面ではクラブの仕事が休めないので、何かがあったときにあまり参加できないですね。火、木、日は基本的に北園クラブに全部来ていますし、大学院で調査などが入った時もこっち(北園)を理由に休んだりしています。それと、定期的に研究室にいられないというのがあります。やっぱり、クラブが無い時に授業とったりしますし、あちこち動いたりするので、研究室に落ち着いて座って、論文を読むというような、いわゆる勉強はこの1年間全くしていないなという感じです。そういうバランスの取り方が難しかったです。
  

 「北園クラブが他のクラブと違うところは?」
  
 まず廃校というのは基本的には珍しいですね。廃校の事例も全国で2〜3くらいだと思います。うちは全国初の事例になっているんですよ。廃校を利用した総合型地域スポーツクラブという意味では他のクラブと違うといえます。
 
 あとは、できあがった背景もそうですが、やはりRISBがついたという部分では、他のクラブと考え方がちょっと違うと思います。今までは、行政は作ってもらいたいから、お金出すという感じで、「お金でサポートする代わりに作って」みたいな補助金頼りの部分がありましたが、北園クラブは独立採算、つまり会費収入からクラブの運営を賄うというコンセプトで出来上がっている特徴的な背景があります。その独立採算というコンセプト自体も新しいですし、それに加えてやっぱり RISB がついたことは大きくて、事前にアンケート調査を行い、市場調査を行った上でプログラムをある程度しっかりと組み立てるという流れができました。
 
 それと値段設定も特徴的だといえます。地域とか行政とかが絡んでいるとどうしても安くしなければならないというところにとらわれがちですが、そもそものコンセプトが独立採算であるということも絡んでくるとむやみに安くはできないんです。やはり、良いサービスにはちゃんとお金を払って満足してくれる会員さんがいるというのもあるので、そこは妥協しないでやっていきたいです。最初は、「月会費3000円?なんでそんなに高いんだ?」みたいにだいぶ言われたみたいです。高いか安いかはまだ判断できる状態ではないのですが、会員である200名の方が、今までやっていなかったのに3000円払っても続いていると考えれば、ものすごく高いというわけでもないですし、成果はあるのではないかなと思います。だから独立採算と、廃校というしっかりとした拠点を持ってできるというのと、プログラムについてはちゃんとニーズ分析をして組み立てているっていうのが一番大きい特徴ではないかなと思います。
  
  
 「この総合型地域スポーツクラブが地域にもたらした影響は何かありますか?」
  
 まだないのではないかと思います。できて1年ちょっとですので…。でも運動する人は増えたのではないかと思います。今までやっていなかった人が200人来たという意味では、運動実施率は上がっているのではないでしょうか。閑散として何も使えていなかった場所に人が集まったという意味でも、微々たるものですが活気が出てきているのかもしれないですね。それこそ手伝ってくれた人はわかるかもしれないですが、去年の10月に行った北園フェスタでも500人近くここに集まっていただきましたよね。そういうことはなかなか凄いことですので、大きな変化は起こっていないとは思いますが、微々たる部分で言えば、徐々に地域のいちコミュニティーとして認められつつあるのではないでしょうか。1年目でそんなに変わってしまっても気持ち悪いですしね(笑)。
  

 「将来的にはどのようなクラブを目指していくのですか?」
  
 そこは結構難しいところですが、継続して続いていってほしいなというのと、今は年齢層やターゲットが絞られてしまっているという部分があるので、もっといろんなプログラムができて、いろんな人が集まるように運営できればいいなとは思っています。でも、これからの将来像、地域として求められているものを、どう形に変えていくかということを4月以降、地域住民やNPO法人が考えていく必要があるとは思います。
  
  
 「行政に関しては?」
  
 明確な目標や目的などがはっきりしていないので、そこに対する判断の軸がない感じはします。なんで総合型地域スポーツクラブをつくるのかという考え方について言及すれば、「計画があるから」とか「文科省の進めている事業の一つで、2010年までに市区町村に少なくても1つずつ作らなくてはいけないから」というのはわかるのですが、それを通して「何がしたい」とか、「なんでそもそもそれをここに作らなければならないのか」などという深みが無いように見受けられます。でも、これは仕方ないことなのかもしれません。
 行政の方の顧客って「地域住民」じゃないですか。これってすごく漠然とした括りですよね。そんな漠然とした対象に「どんなサービスをしたら良いか」って考えるのは難しいし、かといって対象を一部の住民に絞ってしまうのも問題はあるので、ジレンマな部分もあるとは思うんですが…。
 
 あとは制度上の問題ではあると思うのですが、行政職員の方って三年間で入れ替わるんです。だからやはり、自分がいるときには何も起こって欲しくないという感覚もあるんじゃないかと思います。判断する時の基準が曖昧ということと、責任問題ということを考えると、何かと現状維持をしたがって、新しいことはやりたがらない傾向が強いですね。何かをやるときに不安なのだと思います。考え方が「これを実現させるためにはどうしよう?」とかではなくて、「それをやってしまったら何が起こるか?」みたいな。リスクマネジメントに重きをおいた考え方ですよね。でも逆にこちらが突っ込むとそんなに考えてない時もあったりもするんですよ。明確な理由が無いので「なんでだめなのですか? どうしてなのかちゃんと洗い出してもう一度電話ください」みたいな感じで電話“ガシャ”って切っちゃったこともありますよ(笑)。
 
 やはり、目標や目的というのが曖昧なように私は感じます。誰がやってもミス無くしなきゃいけないというのが公の仕事であり、そのマニュアル化、制度化されたものをやらなくてはならないという考えがあるので、そこを逸脱しようとすると、その人はやっぱり評価されないだろうし。そういう環境に合う人と合わない人がいて、合う人のほうが働きやすい場所なので、似たような人たちが集まってくるという流れがあるようですね。とはいえ、今後行政のあり方も見直されてくると思いますし、そうなれば新たな行政との関わり方も生まれてくると思いますよ。だから、それまでは行政に頼らないでやれることをやってしまえばいいという考えにならないと、行政ベッタリだったらキツイのではないかなと思います。
  
  
 次号に続く・・・

+ Sports Illustrations +  第一回「鮮烈デビュー!」

 1月29日(日本時間)。セリエ A ・カターニアの FW 森本貴幸選手がアタランタ戦で後半39分から出場し、その 4 分後にゴールを決めるという活躍を見せてくれました。これにより、出場・ゴールともに欧州リーグでの日本人最年少記録更新となりました。
  
 森本選手はまだ、 18 歳。大分トリニータからフランス 2 部・グルノーブルへ期限付き移籍した梅崎司選手は19歳ですし、同じくグルノーブルに入団した伊藤翔選手も森本選手と同じ 18 歳という若さです(世界基準からいえばけして若いとは言えないという方もいるかもしれませんが)。また、昨年 U − 21 日本代表に選出された乾貴士選手(横浜 M )は 4 〜 5 年後の海外移籍を目指すことを明言しています。
  
 最近ではサッカーをはじめとして他の競技でも、若いスポーツ選手が海外で活躍するケースがかなり目立ってきていて、頼もしさを感じさせます。しかし、こういったスポーツ選手の海外での活躍の影で必ずといっていいほど「トップ選手の海外流出の是非」が議論されます。
  
 確かにトップ選手が海外に行くことは国内リーグを寂しくさせることの一因かもしれません。なぜならそういったトップ選手は簡単に育つものではなく、国内リーグが「スター選手不在」ということになってしまうからです。(トップ選手≠スター選手ではありますが、スター選手は大抵トップレベルの実力を有し、海外リーグに挑戦しようとする傾向があります)。しかし、彼らが海外で得るものは、近い将来そのスポーツ界全体の財産になると言っても過言ではないでしょう。だからこそ、選手の海外挑戦には所属クラブ、サポーターともにある程度は寛容であるべきだと考えます。


 読者の皆さんはトップ選手が海外に挑戦することについてどうお考えになりますか?
  
 
<「 Sports illustrations 」をはじめるにあたって>
この企画はスポーツ界で起こったニュースをイラストと文章で楽しんでいただきたいと思ってはじめたものです。
自分の最も得意とするイラストという表現方法を通して、読者の皆さんにスポーツのことについて少しでも考えていただく場を提供できたらと思います。
やるからには面白いものを目指しますのでどうぞよろしくお願いします!


 佐野 裕文

++ マイレポート ++  スポーツの教室から 〜志々田文明ゼミ〜
 2006 年度後期、私の一週間は徹夜で始まりました。なぜなら火曜1限が演習T=ゼミだったからです。昨年でこのゼミを終えた先輩をして、「やり切った感あるよ〜」「なんだかんだ言ってタメになるから頑張んな!」と言わしめる志々田ゼミ、演習名は「スポーツ思想史」。
 
 そもそも、私がなぜ、武道色の強いこのゼミを選んだのか。思い返せば 2 年半ほど前、田舎のとある予備校の一室で、こんな言葉に感動したところから始まります。「政治も経済も芸術も、この世界で行なわれていることは、すべて人間の営みなのに、人間のことを知らないで、お前ら何が分かるんだ!」濃いヒゲをたくわえた、ごついオッサンは私たちに向かってそう声高に叫びました。スポーツ科学部を第一志望として勉強していた私は、その言葉に心底感動してしまったわけです。だって、スポーツなんて、人間の営み以外の何モノでもないじゃないですか。
 
 そんな経緯があってスポーツ思想というものに興味を持ち、志々田ゼミに入って、まず読んだのが「スポーツの風土」(中村敏雄著)でした。みなさんはこれまで、スポーツのルールというものについて、なぜそのように定められているのかを深く考えたことがあったでしょうか。この本を読めば、いかにスポーツに、それらを生んだ人々の思想が色濃く反映されているのかが分かります。例えばピンチ・サーバーやピンチ・ヒッターといったメンバーチェンジのルール。イギリスで生まれることの無かったこのルールを生み出し、発展させてきたアメリカの思想と風土とはどんなものか。考えたことがありますか?
 
  以前、インタビューさせていただいた日体大の森川教授もこんなことをおっしゃっていました「自分なりに体育やスポーツの考え方をきちんと卒業するまでにつくっていきなさい。」と。これは文化であれ、医科であれ、ビジネスであれ、スポーツ科学部で学ぶ人間にとっての共通テーマではないかと思います。そんなことを考えるうえで、スポーツというものを形作っている「人間」の「思想」を覗いてみるのも、一つの手なのではないでしょうか。  


 小池絵里花

+ Shino's Works + スーパーなボウルであるということ/FONT>
 ビリー・ジョエルが鍵盤に手をのせると会場は水を打ったように静かになった。

 そして、伴奏を背景に、白い布を纏った白人クウォーターバック ( 以下 QB) をカメラは射抜く。NFL最高のQBと賞賛される一方で、勝負弱いと言われ続けた男はやっとこの場所にたどり着くことができた。今度は黒いユニフォームだ。


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