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SEEDS-net vol.78
2007年5月21日発行 |
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SOJ のなかでも特に野球好きが集って結成された SOJ 野球部。そんな僕らがこのゴールデンウィークに行ってきたのが、今年開幕した野球独立リーグ・北信越 BC リーグです。というわけで、今号の SEEDS-net は、北信越 BC リーグ特別号です!リーグ事務局の方へのインタビューなど、感じてきたことを思いっきりつづりました。あまり全国メディアではとりあげられることのない BC リーグですが、ぜひこの号をきっかけに注目してください! <もくじ>
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+ マイオピニオン + プロリーグのそれぞれの距離感 |
富山県砺波市には、「チューリップスタジアム」という愛らしいニックネームを持つ野球場がある。そんな愛らしいスタジアムに、むさくるしい男だけで乗り込んだ 5 月 5 日の夕方、BCリーグと一字違いのプロリーグとの違いがどこから来るのかをずっと考えていた。
一字違いのプロリーグとは、 bj リーグ。 2 年前に誕生したバスケットボールのプロリーグで、富山県では「富山グラウジーズ」というチームが 2006 − 2007 シーズンから新規参入を果たした。 2 年連続のプロリーグへの新加入を果たした(恐らく)史上初の県となった。
BC リーグと bj リーグ、名前は一字違いでも印象は著しく違う。
客席を眺めた印象では、「寝巻きにつっかけを引っ掛けて酒でも飲みに行く」のが BC で、「おしゃれしてデートで行く」のが bj である。この違いは何から生じるのであろう?
Prosumer という言葉がある。製品やサービスの作り手を意味する Producer と使い手を意味する Consumer があわさって出来た造語で、日本のスポーツを支えてきたのは Prosumer である。例えば、ママさんバレー。指導や会場取り、その他事務作業は選手でもあるママさんたちが行っている。スポーツをする、つまりサービスの受け手のママさん達が、自分たちでスポーツをする場を作っている。この自給自足スタイルで、愛好者はスポーツを楽しんできた。
その弊害は昔から言われている。生産者と消費者が一緒であるため、自分たちに都合の良いサービスしか行わなくなり、同時に外に向けての発信が乏しくなる。これでは、一向にスポーツをする人も見る人も増えない。
そこで Prosumer を Producer と Consumer にきちんと分けましょ、というのが、現在のスポーツ界の流れとなっている。総合型地域スポーツクラブではクラブマネジャーを中軸に据え、事務局が生産者としての機能を担うことが期待され、プロの世界では強烈に消費者を意識した「ファンサービス」という言葉を口にするリーグやチームが増えてきた。
2つのリーグの違いは、 Producer と Consumer の距離だと感じた。
bj リーグはそれらの距離を明確に離し、ファンを意識したエンターテイメント空間の創出に取り掛かっている。
BC リーグの立ち位置ははっきりとはまだ分からない。ただ印象としては明確には距離を離していないように感じたし、区切るべきではないと感じた。チームの代表者がよく口にする「おらが町のチーム」を作るためには、異質な空気を醸し出すのでなく同質の空気を持ったリーグであることが大切だ。
とはいえ、同質の空気を維持するのは難しい。 BC リーグに求められるのは、ファンが寝巻きに突っかけを引っ掛けた格好で、安心してのびのびノンビリできる空間を作り出す仕掛けを打って出続けることで、ファンの感覚から離れすぎない高度化しすぎないサービスを提供することである。
でも、それってどういうサービスなの?
うーん、思いつきません。
ごめんなさい、勉強して出直します。

富山県砺波市の「となみチューリップスタジアム」
高橋 丞二 |
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++ マイレポート ++ 困った |
先月末から開幕している北信越BCリーグ(以下・BCリーグ)をGWに観戦し、非常に困ったことがあった。今回観戦した三試合は全てナイターだったのだが、試合を観戦しながら夕食を楽しむことができなかったのだ。ナイター試合が終了してから夕食を食べようと思っても、各地の名産品を扱う飲食店の多くは閉まっており、結局ファーストフードやチェーン店で済ますことが多かったのだ。
4月上旬に訪れたカシマサッカースタジアム(以下・鹿島)は、サッカーファンの間ではスタジアムグルメ評価がJリーグ屈指で高いのだが、自分としては鹿島があたりまえであってほしい。毎試合平均で2000人以上が球場に集まり、多くの会場を使用するBCリーグなら各地区の飲食店などとタイアップすることによって、地域を更に活性化できるのではないだろうか。そしてイニング間やピッチャー交代時など試合が何度も止まり、一息つく時間がサッカーと比較すると多い野球ならなおさらだ。
鹿島ではさながら「うまいもん展」が行われているかのごとく、牛串、もつ煮、はまぐりカレー、夏野菜カレー、いか七味焼きなどを筆頭に豊富なメニューが揃っている。だがBCリーグの試合会場においては「定番中の定番」であるからあげ、ポップコーン、やきそば、そして自分が高校時代の文化祭でやった焼鳥屋で使ったものと同じだった冷凍の焼鳥などしか販売していなかった。更に言ってしまうと、運転する身分だったので酒類は飲めなかったが、生ビールが500円で販売している隣で缶ビールを同じ値段で販売しているお店を見たときは衝撃を受けた。当然、缶ビールを飲みながら観戦している方はいないに等しかったことはビール党の方には容易に想像がつくだろう。
金土日を中心に試合スケジュールを組んでいるのであれば、家族で観戦する方も多いのではないか。そんな方々に「またBCリーグの試合会場に足を運びたいな」と思っていただける要因のひとつとして、「BCリーグの試合会場では野球の試合だけではなく、おいしいご飯をたくさん食べられる」こともあってはいいのではないだろうか。一人暮らしの学生は自炊をするのがめんどくさい日が多々あるのだから、せめてスタジアムでは「うまいもん展」を満喫したい。
【写真・参考資料】カシマサッカースタジアム グルメガイド
http://www.so-net.ne.jp/antlers/st_shop/index.html
内田 大三 |
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+ マイオピニオン + 野球を観に行く |
子供たちは我も我もと必死にファールボールを追いかけ、保護者である大人たちは子供以上にマスコットとじゃれ合う。
北信越 BC リーグを見ていて非常に印象的だったことは、球場に来ている人たちは「観戦者」、つまり「野球を観に来た人たち」ではないということであった。
「球場に来た人が野球を観に来ていない? そんなバカな。」
そう思った人が多いのではないだろうか。
もちろん、それも間違いではない。みんな大なり小なり球場へ来る目的の中に、「野球を観る」があったとは思う。しかし、同時にそれが全てではなかったことは確かである。なぜなら、来場者たちは試合と同じくらい ( もしくはそれ以上に ) 、球場で起こる全ての「イベント ( 出来事 ) 」に興味を示し、思いっきり楽しんでいたからである。
おそらくそれは、彼 ( 女 ) らが球場に「遊びに来た」からではないだろうか。
1年に1度のカーニバルに行くように、彼 ( 女 ) らはワクワクするような「雰囲気」を楽しむために球場へ足を運んでいるように私の目には映った。それは、日本のプロ野球とは異なる独立リーグ独特の「観戦スタイル」と言って差し支えないだろう。
近年、日本のプロ野球界ではアメリカ式の遊んで楽しめる球場「ボール・パーク」が話題になっているが、日本の「応援」を主とする観戦スタイルとマッチするのか甚だ疑問であった。それでも、もし日本で「ボール・パーク」が根付くとしたら、それはここ「 BC リーグ」なのではないだろうか。
ファールボールを楽しそうに追いかける少年を見ながら、そんなことを考えていた。
岡野 紘二
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+ マイオピニオン + 松井秀喜の距離感 |
松井秀喜は確実にすごい人だ。北信越を転々としている際、松井の故郷・石川県にある「松井秀喜ベースボールミュージアム」に立ち寄って、改めて、そう感じる。日本の野球界歴代のプレイヤーから選ぶベストナインにも入るのだから、誰もがそのすごさは認めるだろう。でも、松井はそのほかの歴史に残るプロ野球選手と比べて、普通の人との“距離感”が近い。 WBC でのイチローの姿は、今までとは違う“距離感”であったが、松井はいつでも、新しく作ったイチローの“距離感”よりも近く、親しみやすい。
この“距離感”は、意図的に操作されることもある。メディアが重箱の隅に付いたご飯にふりかけをかけてしまえば、イメージはガラッと変わるだろう。 WBC を辞退した後の松井に対する風当たりは、ひどいものだった。しかし、いつの間にか、おそらく手首の骨折時であろうが、いつもの松井の“距離感”に戻っていた。松井ほどの“距離感”の人物である場合、高い確率でかわいい系か、ユーモアのある選手であるか、のどちらかであるが、松井はどちらでもない。妙なさわやかさはあるが、如何せん「ゴジラ」である。この「ゴジラ」と名づけられた高校時代も、意図的に“距離感”を作られていたわけだ。
「高校時代 松井秀喜」といえば、「あの」試合だ。今の“距離感”に近づく一歩目だろうか。打ちたくても打てない。そんな不満や怒りを松井は耐え続けた。耐えるしかなかった。その姿に、今でも共感を覚える人は少なくないはずだ。その後も、何度となく、あからさまに見える壁にぶち当たり続けた。高校時代から「ゴジラ」と言われ、騒がれてきたすごい選手でも、壁にぶつかる、その「あからさま」加減が、また私たちを惹きつけるのかもしれない。すんなり 4 番に定着できない。 2 年連続でホームランが 1 本足らずにタイトルが取れない。毎年、花粉症に悩まされる…。
それでも、一番“距離感”を縮めさせているのは、松井秀喜の奥底から滲み出る人柄である。毎年恒例の地元・根上町(現在は合併して能美市)でのイベントでは、どのような質問に対しても笑顔を絶やさないようである。その良い人柄は、チームメイトや監督にまで及び、松井の三振を巡って他のチームメイトが退場することもあった。不満を吐露せず、どんな試合でも全力プレーをし、ファンを大事にする。人としても、野球選手としても、正にプロフェッショナルである松井秀喜。道徳の教科書にも選出されるのは当然だろう。
おおよそ、その人の人柄が決定するだろう“距離感”は教えられるものではない。しかし、「松井秀喜の“距離感”」こそ、北信越 BC リーグに必要な“距離感”ではないだろうか。「良きお兄さん」の要素、プレイヤーとしても、人物としても模範的な存在、地元を愛し、地元から愛され、マスコミ当りも良い人柄。ここまでのスーパースターを引き込むことは劇薬の使用に似ている。反動の危険が伴うが、あのレベルでは劇薬の投与もやむを得ない。すぐにでも、スペシャルアドバイザーのような立場で加わり、全プレイヤーに松井イズムを注入。そして、現役最後の 1 シーズンは石川ミリオンスターズで終え、再び終身スペシャルアドバイザーに。北信越 BC リーグは、始まったばかりであるが、いち早く継続させる手を打っていかなくては、後の野球の独立リーグ界に悪影響が出る。宝の持ち腐れ状態にしておくなら、いっそのこと劇薬として使い続けたほうが、誰もが納得するだろうし、アメリカでの経験から松井自身も賛同する可能性は高いだろう。用法・用量に注意している場合ではない。
松井秀喜ベースボールミュージアム: http://www.hideki.co.jp/
西山 裕貴
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