SEEDS-net vol.78
2007年5月21日発行
 

 SOJ のなかでも特に野球好きが集って結成された SOJ 野球部。そんな僕らがこのゴールデンウィークに行ってきたのが、今年開幕した野球独立リーグ・北信越 BC リーグです。というわけで、今号の SEEDS-net は、北信越 BC リーグ特別号です!リーグ事務局の方へのインタビューなど、感じてきたことを思いっきりつづりました。あまり全国メディアではとりあげられることのない BC リーグですが、ぜひこの号をきっかけに注目してください!

<もくじ>

インタビュー 北信越BCリーグ事務局 池田拓史さん
マイオピニオン プロリーグのそれぞれの距離感
マイレポート 困った
マイオピニオン 野球を観に行く
マイオピニオン 松井秀喜の距離感

++ インタビュー ++  北信越BCリーグ事務局 池田拓史さん
  行ってきました、見てきました、プロ野球独立リーグ・“北信越ベースボール・チャレンジ・リーグ”こと“北信越BCリーグ”。しかし、
 
「SOJ としては、野球を見るだけで帰るわけにはいかない!」
 
 というわけで、旅の締めくくりに向かったのが、新潟市にある北信越BCリーグのリーグ運営会社である「潟Wャパン・ベースボール・マーケティング」事務局。インタビューのオファーを快諾してくれたのが、北信越BCリーグ広報担当の池田拓史さんだ。新潟県塩沢町(現・南魚沼市)のご出身で、大学時代は札幌で北海道日本ハムファイターズを盛り上げるような活動もされていたそう。しかも、まだ 25 歳と若くて僕らとも歳が近い。まさに僕ら SOJ の人間と通じるところがある。そんな池田さんに北信越BCリーグについて説明していただきましょう!


 池田:北信越BCリーグの最大の目的は、「野球を通じた地域の活性化」です。よく先輩の四国アイランドリーグさんとの違いを聞かれることがあります。四国アイランドリーグが掲げる「NPBへの選手の輩出」という目的はもちろん私たちにとっても大きな目的のひとつですが、あくまでも最大の目的は地域の活性化です。
 選手たちには野球をやるだけではなく、小学校を訪問しての野球教室、ボランティア活動、商店街のイベントへの参加なども積極的に行い、地域の活性化のための様々な活動をたくさんやってもらいます。子どもたちのお手本となり、みんなの明るい話題となるような、地域になくてはならないシンボルになってもらいたいのです。
 もちろん、選手たちはNPBを目指して、現場の素晴らしい監督・コーチに一生懸命指導して頂きながら毎日必死で練習していますよ。


 
 SOJ :四国アイランドリーグやNPBとの交流戦を実施する予定はあるのでしょうか?
 
 池田:四国アイランドリーグとは、地域から野球を盛り上げたいという共通の理念の下、夏にはオールスター、そしてシーズン終了後にはお互いのリーグのチャンピオンチーム同士で“チャンピオンマッチ(仮称)”をしたいというお話をさせて頂いています。NPBとの交流戦も、私どものリーグの選手にとって励みになるし、どんどん実現させたいと思っています。


 SOJ :新潟ではサッカーのアルビレックス新潟が絶大な人気を誇ることで有名ですが、野球人気はどうなんでしょうか?
 

 池田:新潟は早起き野球が非常に盛んであることなどをはじめ、北信越全体において、総じて野球人気は高いと言えると思います。開幕して、改めて野球人気の根強さを非常に感じていますが、決してそれに甘えてはいけないと思っています。野球にあまり興味がない方々、潜在層をいかに惹き込んでいけるかが肝心です。サッカーのアルビレックス新潟は、スポーツ不毛の地と言われていた新潟で、地道な取り組みをコツコツしてこれほどの人気クラブになったわけですから。私たちもそういう地道な積み重ねをしないといけません。

 
 SOJ :また、選手たちのレベルはNPBと比べるとかなり差があると思います。この点はどうお考えですか?
 
 池田:選手たちのレベルはNPBと比べると確かに差があります。しかし、必ずしもお客さんはプレーのレベルの高さだけを目的に観に来ているわけではないと思います。選手たちが上のレベルを目指して必死でプレーする姿が、きっとお客さんの心に響くと思います。高校野球なんてまさにそうですよね。また、私たちのリーグの選手たちは、まだ発展途上の選手たちばかりですから、観に来る度に「あいつうまくなったなあ」と成長を感じて頂けると思います。秋には夢のNPB入りを掴む選手も出ているはず。独立リーグならではの醍醐味ですね。

 
 SOJ :なるほど。お客さんに来てもらうために、リーグ全体としての取り組みはありますか?
 
 池田:そうですね、いろいろありますが、ひとつお話しましょう。私たちは公式戦 144 試合を 4 県内で合計 35 球場で実施し、各地域を隈なくまわるのです。観客動員数を増やすための武器になると考え、そうしました。新潟県では佐渡島でもやるんですよ。各地域では、年に 1 回とか、月に 1 回とかのペースで開催します。「月に1回ある地域のお祭り」というような感覚で、各地域のみなさんに興味を持って頂けたらと思っています。有料の入場者だけでなく、アルビレックス新潟のノウハウをお手本に、各球団の後援会組織を通じて上手にご招待をして、あまり興味のない方たちにもスタジアムに足を運んで頂けるきっかけづくりをしたいと考えています。


 また、“ボールパーク化計画”をキャッチフレーズに、試合会場では野球だけでなく、地域芸能や地元の子供たちの催し物、ベースランニング大会など、楽しいイベントをどんどんやっていきます。最初はお祭りに遊びに行くような感覚でお越しくださればいいと思っています。野球に興味がなくても、「おいしい食べ物が食べられた」「イベントが楽しかった」でいいんです。スタジアムが満員になってこそ初めて生まれる感動や賑わいがある、ということをアルビレックス新潟から私たちは学びました。満員になることで選手たちもよりプレーに熱が入り、緊張感のある試合になる。そうするうちに、『また今度行きたいね』とリピーターになってくれる方が出てくると思います。

 
 SOJ : 35 球場も使用するんですか……? ひとつのクラブの主催試合会場が約 10 球場にも及びますよね。他のプロスポーツでは、ホームスタジアムの固定が基本ですが、それはしないということですか?
 
 池田:そうです。(SOJ ・佐野の方を向いて)えっと、君、長岡出身だよね? 長岡でプロ野球を見られるって結構すごいと思わない? たぶん、これは首都圏の人にはわからないでしょうけど、私みたいな田舎出身の人間からすれば、自分が住んでいる近くのスタジアムでプロ野球が見られるって結構すごいことじゃないかと思うんですよ。

 わざわざ 2 時間も掛けて観に行こうとは思って頂けなくても、自分の住んでいる町で行われる試合なら、しかも地元のプロ野球チームの試合なら、 1 回くらい行ってみてもいいかなって気持ちになって頂けるのではないかと思います。地元出身である私がそう思っているということは、たぶん今来て下さっているお客さんもそういう感覚なのではないかなと思っているんですよ。そんな盛り上がりを各県各地で作っていきたいと思っています。おらが町の県民球団を、各地で県民が応援する――これは盛り上がると思いますよ。


 
 SOJ :地域密着を目指すリーグとして、やはり注目されるにはメディアの力が重要なのではと思います。広報活動においてどのようなところに力を入れた、また現在入れていますか?

 池田:地元のメディアに取り上げて頂きやすい土壌をつくり、地元が盛り上がっていけるように、徹底して地域密着型の運営を心掛けてきましたし、現在もそうしています。ポイントは大きく 2 つあります。


 1 つ目は、各球団が多くの地元の方々や地元企業から出資を頂いて設立できたことです。四国アイランドリーグは、当初、株式会社 IBLJ が 4 球団および 100 人の選手を保有するという形でスタートしました(編注・次年度からは各球団も法人化)。私たちは、苦労することは承知の上で、立ち上げの時点から 4 球団をリーグ運営会社とは別の法人でつくろうと始めました。地元の資本で球団を設立してこそ、はじめて地域に密着した球団となるのだと、アルビレックス新潟の事例から実感していたからです。また、それぞれの球団がそれぞれの土地柄に合った経営をすることで、独自性が生まれます。結果的に、各球団がそれぞれの県内の地元メディアと細やかにコミュニケーションを図ることができ、「おらが町のチームを県民みんなで応援しよう」と、たくさん話題に取り上げて頂ける土壌がつくれました。

 2つ目は、それぞれの球団が有望な若い地元選手たちに入団してもらえたことです。やはり、素晴らしい監督・コーチ 12 名に集まって頂けたことが大きかった。これからは、“地元選手となった” 100 名の選手たちから、いかにたくさん“ローカルヒーロー”を生み出していけるかが勝負です。サッカーのアルビレックス新潟でいうと、つい最近、矢野貴章選手がクラブ史上初めて日本代表に選ばれましたが、それよりもずっと前から、ビッグスワンには毎試合 4 万人のサポーターが詰め掛けていました。スター選手がたくさんいなくても、工夫すればお客さんは集まってくれるという素晴らしいお手本です。

 それは、地元メディアのみなさんが選手たちひとりひとりにスポットライトを当て、ひとりひとりのストーリーを紹介し、地域の人たちが“スタジアムに応援に行こう”と思える動機付けがなされていたからこそ。私たちのリーグの選手は、技術的に決して一流ではないかもしれません。だからこそ、地元メディアを通じて、選手たちが必死に野球に取り組んでいる姿、エピソード、人間味をいかに伝えて頂けるか、そのためにひとりひとりの個性をいかに我々が引き出せるかがカギだと思います。「○○選手はこんな思いで野球をやっている」とか、「怪我をして一度は野球をあきらめたが、どうしても野球がやりたくて勤めていた会社を辞めてこのリーグにチャレンジした」というようなストーリーを地域のみなさんにどう伝えるか。選手名鑑に書いてあるという情報だけでは、「応援してやろう」という気持ちにはなかなかならないものですよね。



 分かりやすい例を挙げれば、宮地克彦選手 (編注・富山サンダーバーズプレーイングコーチ。西武ライオンズや福岡ソフトバンクホークスで活躍した) 。宮地選手は「もう一回 NPB に戻りたい」と、若い選手たちと一緒に泥まみれになりながら、必死に野球に取り組んでいます。その姿勢は、観る人たちの心を惹き付ける力があります。宮地選手の熱い想いに触れた瞬間、応援の熱の入り方も違ってくるのではないでしょうか。

 選手たちのストーリーを地元メディアが伝えて、それを知った地元の人たちが応援して下さる。そのプロセスで“ローカルヒーロー”が生まれていくのです。 100 人の選手たちには 100 のストーリーがある。とてもありがたいことに、実際に地元メディアのみなさんが好意的に受け止めて下さっており、毎日いろんな選手たちを話題に取り上げて下さっています。新聞での連載、テレビでの特集など、びっくりするほど盛り上がっています。

 
 SOJ :“ローカルヒーロー”かあ、なるほど。では、ちょっと質問なんですが、逆にもともと広く知られている選手を連れてくるっていうのはどうでしょう?たとえば、石川県出身の松井秀喜を、数試合でもいいのでスポットで石川ミリオンスターズに連れてくるとか!
 
 池田:そんな話があったら、もちろんすぐにでもお願いしたいですね ( 笑 ) 。確かに、有名選手がスポットで来てくれるのは地域の活性化を考えると良いことかもしれませんが、安易に頼ってしまうと、私たちが本来やらなければいけないことの本質を疎かにしてしまい、一過性の人気になりかねない怖さもある。くどいですが、私たちのリーグは、ひとりひとりの選手にスポットライトを当て、“ローカルヒーロー”を生み出すための取り組みを丁寧に積み重ねることが大切なのです。もちろん、そういうベースがしっかりできているのなら、スポット参戦も前向きに考えられますね。

 
 SOJ :やっぱり、選手全員が“ローカルヒーロー”であることが大前提なんですね!
 最後に、 SOJ の恒例の質問です。地元新潟のある北信越BCリーグを運営する池田さんにとって、スポーツ文化とはなんでしょう?
 
 池田:「賑わい」と「地域愛」だと思います。「賑わい」というのは、地域のお祭りのように、とにかく単純にそこに居るだけで楽しい空間があって、人を惹き付ける場所ということでしょうか。地元のお祭りって、別に何か特別なことがなくても、毎年行っちゃいますよね(笑)。お神輿を見て、焼きそばを食べるだけでも行っちゃうじゃないですか。

 さっきも言ったのですが、スタジアムが満員になってこそ初めて生まれる感動があると思います。スポーツ観戦へ行って、スタンドが一体となって応援して盛り上がるのが、自分自身も大好き。それが地元のチーム、地元の選手たちだったら、もう最高に楽しいですよね。地域に対する愛着もより強くなる。地方にはイベントが少ないですが、このリーグが地域のみなさんに支えられながら、地元のお祭りのように、地域の文化財になっていけばいいなと感じています。だからこそ、徹底して観客動員数にはこだわりたい、開幕してみて改めて強くそう思っています。


 

 読者のみなさん、北信越BCリーグの運営に直接関わる方への直撃インタビューを読んで、北信越BCリーグが見るゴールはどこなのか、少しでもおわかりになったでしょうか? リーグの詳しい情報は下に貼ってある北信越BCリーグオフィシャルサイトへのリンクへ飛ぶとして、これからは僕らが実際に行って、見て、感じてきたレポートの数々があります。どうぞ読んでやってください!
 
 北信越ベースボール・チャレンジ・リーグ: http://www.bc-l.jp


 佐野 裕文、伊藤 祐己

+ マイオピニオン +  プロリーグのそれぞれの距離感
 富山県砺波市には、「チューリップスタジアム」という愛らしいニックネームを持つ野球場がある。そんな愛らしいスタジアムに、むさくるしい男だけで乗り込んだ 5 月 5 日の夕方、BCリーグと一字違いのプロリーグとの違いがどこから来るのかをずっと考えていた。

 一字違いのプロリーグとは、 bj リーグ。 2 年前に誕生したバスケットボールのプロリーグで、富山県では「富山グラウジーズ」というチームが 2006 − 2007 シーズンから新規参入を果たした。 2 年連続のプロリーグへの新加入を果たした(恐らく)史上初の県となった。

 BC リーグと bj リーグ、名前は一字違いでも印象は著しく違う。

 客席を眺めた印象では、「寝巻きにつっかけを引っ掛けて酒でも飲みに行く」のが BC で、「おしゃれしてデートで行く」のが bj である。この違いは何から生じるのであろう?


 Prosumer という言葉がある。製品やサービスの作り手を意味する Producer と使い手を意味する Consumer があわさって出来た造語で、日本のスポーツを支えてきたのは Prosumer である。例えば、ママさんバレー。指導や会場取り、その他事務作業は選手でもあるママさんたちが行っている。スポーツをする、つまりサービスの受け手のママさん達が、自分たちでスポーツをする場を作っている。この自給自足スタイルで、愛好者はスポーツを楽しんできた。

 その弊害は昔から言われている。生産者と消費者が一緒であるため、自分たちに都合の良いサービスしか行わなくなり、同時に外に向けての発信が乏しくなる。これでは、一向にスポーツをする人も見る人も増えない。

 そこで Prosumer を Producer と Consumer にきちんと分けましょ、というのが、現在のスポーツ界の流れとなっている。総合型地域スポーツクラブではクラブマネジャーを中軸に据え、事務局が生産者としての機能を担うことが期待され、プロの世界では強烈に消費者を意識した「ファンサービス」という言葉を口にするリーグやチームが増えてきた。


 2つのリーグの違いは、 Producer と Consumer の距離だと感じた。

 bj リーグはそれらの距離を明確に離し、ファンを意識したエンターテイメント空間の創出に取り掛かっている。

 BC リーグの立ち位置ははっきりとはまだ分からない。ただ印象としては明確には距離を離していないように感じたし、区切るべきではないと感じた。チームの代表者がよく口にする「おらが町のチーム」を作るためには、異質な空気を醸し出すのでなく同質の空気を持ったリーグであることが大切だ。


 とはいえ、同質の空気を維持するのは難しい。 BC リーグに求められるのは、ファンが寝巻きに突っかけを引っ掛けた格好で、安心してのびのびノンビリできる空間を作り出す仕掛けを打って出続けることで、ファンの感覚から離れすぎない高度化しすぎないサービスを提供することである。

 でも、それってどういうサービスなの?

 うーん、思いつきません。

 ごめんなさい、勉強して出直します。

 

富山県砺波市の「となみチューリップスタジアム」


 高橋 丞二

++ マイレポート ++ 困った
 先月末から開幕している北信越BCリーグ(以下・BCリーグ)をGWに観戦し、非常に困ったことがあった。今回観戦した三試合は全てナイターだったのだが、試合を観戦しながら夕食を楽しむことができなかったのだ。ナイター試合が終了してから夕食を食べようと思っても、各地の名産品を扱う飲食店の多くは閉まっており、結局ファーストフードやチェーン店で済ますことが多かったのだ。
 

 4月上旬に訪れたカシマサッカースタジアム(以下・鹿島)は、サッカーファンの間ではスタジアムグルメ評価がJリーグ屈指で高いのだが、自分としては鹿島があたりまえであってほしい。毎試合平均で2000人以上が球場に集まり、多くの会場を使用するBCリーグなら各地区の飲食店などとタイアップすることによって、地域を更に活性化できるのではないだろうか。そしてイニング間やピッチャー交代時など試合が何度も止まり、一息つく時間がサッカーと比較すると多い野球ならなおさらだ。
 
 鹿島ではさながら「うまいもん展」が行われているかのごとく、牛串、もつ煮、はまぐりカレー、夏野菜カレー、いか七味焼きなどを筆頭に豊富なメニューが揃っている。だがBCリーグの試合会場においては「定番中の定番」であるからあげ、ポップコーン、やきそば、そして自分が高校時代の文化祭でやった焼鳥屋で使ったものと同じだった冷凍の焼鳥などしか販売していなかった。更に言ってしまうと、運転する身分だったので酒類は飲めなかったが、生ビールが500円で販売している隣で缶ビールを同じ値段で販売しているお店を見たときは衝撃を受けた。当然、缶ビールを飲みながら観戦している方はいないに等しかったことはビール党の方には容易に想像がつくだろう。
 
 金土日を中心に試合スケジュールを組んでいるのであれば、家族で観戦する方も多いのではないか。そんな方々に「またBCリーグの試合会場に足を運びたいな」と思っていただける要因のひとつとして、「BCリーグの試合会場では野球の試合だけではなく、おいしいご飯をたくさん食べられる」こともあってはいいのではないだろうか。一人暮らしの学生は自炊をするのがめんどくさい日が多々あるのだから、せめてスタジアムでは「うまいもん展」を満喫したい。
 
 【写真・参考資料】カシマサッカースタジアム グルメガイド
 http://www.so-net.ne.jp/antlers/st_shop/index.html


 内田 大三

+ マイオピニオン + 野球を観に行く
 子供たちは我も我もと必死にファールボールを追いかけ、保護者である大人たちは子供以上にマスコットとじゃれ合う。
 
 北信越 BC リーグを見ていて非常に印象的だったことは、球場に来ている人たちは「観戦者」、つまり「野球を観に来た人たち」ではないということであった。


「球場に来た人が野球を観に来ていない? そんなバカな。」


 そう思った人が多いのではないだろうか。

 もちろん、それも間違いではない。みんな大なり小なり球場へ来る目的の中に、「野球を観る」があったとは思う。しかし、同時にそれが全てではなかったことは確かである。なぜなら、来場者たちは試合と同じくらい ( もしくはそれ以上に ) 、球場で起こる全ての「イベント ( 出来事 ) 」に興味を示し、思いっきり楽しんでいたからである。
 
 おそらくそれは、彼 ( 女 ) らが球場に「遊びに来た」からではないだろうか。
 1年に1度のカーニバルに行くように、彼 ( 女 ) らはワクワクするような「雰囲気」を楽しむために球場へ足を運んでいるように私の目には映った。それは、日本のプロ野球とは異なる独立リーグ独特の「観戦スタイル」と言って差し支えないだろう。
 
 近年、日本のプロ野球界ではアメリカ式の遊んで楽しめる球場「ボール・パーク」が話題になっているが、日本の「応援」を主とする観戦スタイルとマッチするのか甚だ疑問であった。それでも、もし日本で「ボール・パーク」が根付くとしたら、それはここ「 BC リーグ」なのではないだろうか。


 ファールボールを楽しそうに追いかける少年を見ながら、そんなことを考えていた。


 岡野 紘二


+ マイオピニオン + 松井秀喜の距離感
 松井秀喜は確実にすごい人だ。北信越を転々としている際、松井の故郷・石川県にある「松井秀喜ベースボールミュージアム」に立ち寄って、改めて、そう感じる。日本の野球界歴代のプレイヤーから選ぶベストナインにも入るのだから、誰もがそのすごさは認めるだろう。でも、松井はそのほかの歴史に残るプロ野球選手と比べて、普通の人との“距離感”が近い。 WBC でのイチローの姿は、今までとは違う“距離感”であったが、松井はいつでも、新しく作ったイチローの“距離感”よりも近く、親しみやすい。
 
 この“距離感”は、意図的に操作されることもある。メディアが重箱の隅に付いたご飯にふりかけをかけてしまえば、イメージはガラッと変わるだろう。 WBC を辞退した後の松井に対する風当たりは、ひどいものだった。しかし、いつの間にか、おそらく手首の骨折時であろうが、いつもの松井の“距離感”に戻っていた。松井ほどの“距離感”の人物である場合、高い確率でかわいい系か、ユーモアのある選手であるか、のどちらかであるが、松井はどちらでもない。妙なさわやかさはあるが、如何せん「ゴジラ」である。この「ゴジラ」と名づけられた高校時代も、意図的に“距離感”を作られていたわけだ。
 

 「高校時代 松井秀喜」といえば、「あの」試合だ。今の“距離感”に近づく一歩目だろうか。打ちたくても打てない。そんな不満や怒りを松井は耐え続けた。耐えるしかなかった。その姿に、今でも共感を覚える人は少なくないはずだ。その後も、何度となく、あからさまに見える壁にぶち当たり続けた。高校時代から「ゴジラ」と言われ、騒がれてきたすごい選手でも、壁にぶつかる、その「あからさま」加減が、また私たちを惹きつけるのかもしれない。すんなり 4 番に定着できない。 2 年連続でホームランが 1 本足らずにタイトルが取れない。毎年、花粉症に悩まされる…。
 
 それでも、一番“距離感”を縮めさせているのは、松井秀喜の奥底から滲み出る人柄である。毎年恒例の地元・根上町(現在は合併して能美市)でのイベントでは、どのような質問に対しても笑顔を絶やさないようである。その良い人柄は、チームメイトや監督にまで及び、松井の三振を巡って他のチームメイトが退場することもあった。不満を吐露せず、どんな試合でも全力プレーをし、ファンを大事にする。人としても、野球選手としても、正にプロフェッショナルである松井秀喜。道徳の教科書にも選出されるのは当然だろう。
 
 おおよそ、その人の人柄が決定するだろう“距離感”は教えられるものではない。しかし、「松井秀喜の“距離感”」こそ、北信越 BC リーグに必要な“距離感”ではないだろうか。「良きお兄さん」の要素、プレイヤーとしても、人物としても模範的な存在、地元を愛し、地元から愛され、マスコミ当りも良い人柄。ここまでのスーパースターを引き込むことは劇薬の使用に似ている。反動の危険が伴うが、あのレベルでは劇薬の投与もやむを得ない。すぐにでも、スペシャルアドバイザーのような立場で加わり、全プレイヤーに松井イズムを注入。そして、現役最後の 1 シーズンは石川ミリオンスターズで終え、再び終身スペシャルアドバイザーに。北信越 BC リーグは、始まったばかりであるが、いち早く継続させる手を打っていかなくては、後の野球の独立リーグ界に悪影響が出る。宝の持ち腐れ状態にしておくなら、いっそのこと劇薬として使い続けたほうが、誰もが納得するだろうし、アメリカでの経験から松井自身も賛同する可能性は高いだろう。用法・用量に注意している場合ではない。
 


 松井秀喜ベースボールミュージアム: http://www.hideki.co.jp/
 

 西山 裕貴

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